令和元年のメイクデビュー。ノーザンファーム1強に待ったをかける!?(辻三蔵)
芝1400m以下の新馬戦は完成度で勝負できる
令和元年6月1日から始まった2歳新馬戦はノーザンファーム生産馬が全9戦中5勝。ノーザンファーム生産馬は2歳新馬戦で[5-3-5-6](勝率26%、複勝率68%)と良績を残している(データは2019年6月11日現在)。
特に芝1600m以上の新馬戦では、来年のクラシックを担う素質馬が早くも登場。6月1日(土)阪神5R2歳新馬(芝1600m)では、リアアメリア(牝、父ディープインパクト、中内田充正厩舎)が8馬身差圧勝。
2017年以降、芝1600m以上の新馬戦で、8馬身以上の大差をつけて勝った馬はファンディーナ、ヴェロックスの2頭だけ。ファンディーナはデビューから無傷の3連勝でフラワーC圧勝。ヴェロックスは若駒S、若葉Sを連勝し、皐月賞2着、日本ダービー3着と好走した。リアアメリアは初戦でGI級の資質を示した。
6月2日(日)東京5R2歳新馬(芝1600m)はサリオス(牡、父ハーツクライ、堀宣行厩舎)、アブソルティスモ(牡、父ダイワメジャー、藤沢和雄厩舎)が一騎打ちを演じた。結果的にはサリオスの決め手が上回ったが、2着アブソルティスモも逃げ足を伸ばし、3着以下を7馬身引き離した。
昨年6月3日(日)東京5R2歳新馬(芝1600m)でグランアレグリア(桜花賞1着)、ダノンファンタジー(阪神ジュベナイルF1着)が1、2着した「伝説の新馬戦」があったが、今年も両馬の活躍に注目だ。
昨年同様、ノーザンファーム1強ムードが漂うが、他陣営も戦略を練り、対抗策を取っている。
ノーザンファーム生産馬は既に19頭デビューしたが、ライバルの社台ファーム生産馬は1頭だけ。社台ファーム生産馬の「馬名登録馬のみ」の2歳新馬・在厩頭数が32頭。ノーザンファーム生産馬の2歳新馬・在厩頭数67頭と比べると半数以下だが、夏開催に合う体力旺盛な馬を厳選。小回り向きの先行力があるハービンジャー、ダイワメジャー、キングカメハメハ産駒を主軸に福島、中京、小倉競馬の芝中距離戦に照準を絞っている。
今年の2歳新馬戦・距離別成績ではノーザンファーム生産馬は芝1600m以上で[4-2-2-2](勝率40%、複勝率80%)と好成績。しかし、芝1400m以下では[1-1-3-4](勝率11%、複勝率56%)と苦戦している。
6月1日(土)東京5R2歳新馬(芝1400m)を勝ったカイトレッド(牝、父ゴールドヘイロー、和田雄二厩舎)はナイママ(2018年札幌2歳S2着)の半妹。4月4日(木)に、リンノヘイローという名前で門別競馬の競走能力・発走調教検査に合格。その後、中央競馬でデビューするので馬名変更し、仕上がりの早さを発揮した。
芝1400m以下の新馬戦は現時点での完成度を生かせば、ノーザンファーム生産馬に対抗できることを証明した。ノーザンファーム生産馬がクラシック路線の王道を歩むことで、短距離路線に活路が見出せる。大手牧場の隙間を突くことが1強打破の道標だ。