ディアドラ出走の翌日に 日本産の3歳牝馬が英G2出走
母は1勝馬ながら、1億越えで購買された良血馬
ディアドラが出走するG1プリンスオヴウェールズS(芝9F212y)の発走が、日本時間の19日(水曜日)夜11時40分に迫っている。レースの模様はグリーンチャンネルで生中継されるので、ぜひご注目いただきたい。
そして、G1プリンスオヴウェールズSは5日間にわたって行われるロイヤルアスコットの2日目のメイン競走で、英国王室が主催する開催は3日目以降も見逃せないカードが目白押しである。
日本の競馬ファンの皆様にとって楽しみなのが、20日(木曜日)に行われる3歳牝馬限定のG2リブルスデイルS(芝11F211y)だ。というのもここに、日本産ディープインパクト産駒のラヴソーディープ(牝3)が出走予定なのだ。
同馬は、09年に英国と愛国のオークスを連覇したサリスカなどのオーナーブリーダーとして知られるバムフォード卿夫人が営む、デイレスフォードスタッドの生産馬である。
同馬の母ソーインラヴウィズユー(父サドラーズウェルズ)は、クールモアが所有しエイダン・オブライエンが管理した馬で、現役時代の成績は9戦1勝。繁殖入り後、2番仔となる父シーザスターズの種をお腹に宿した状態で、10年のタタソールズ12月牝馬セールに上場されたところ、95万ギニー、当時のレートで日本円に換算して1億3472万円という高値でバムフォード卿夫人が購買したものだ。1勝馬の価格がなぜこれほど高かったかといえば、ソーインラヴウィズユーは、08年にG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、G1インターナショナルSなど5つのG1を制し、欧州古馬チャンピオンの座についたデュークオヴマーマレイドの半妹という良血馬だからであった。
ちなみに、ソーインラヴウィズユーの半弟にあたるルーラーオヴザワールドがG1英ダービー(芝12F6y)を勝つことになったのが13年で、ソーインラヴウィズユーの95万ギニーというのは、むしろ「お買い得」な価格だったと言えそうだ。
そして、大きな金額を投じて購入したソーインラヴウィズユーを、バムフォード卿夫人は2013年の繁殖シーズンを前にして日本へ送り、3年連続でディープインパクトを交配。2016年に新冠で生まれたのがラヴソーディープである。
ラヴソーディープは、リチャード・ハノン厩舎所属馬として2歳7月にデビュー。2歳シーズン終了時まで5戦したが、ウルヴァーハンプトンのハンデ戦(AW8F142y)で3着になったのが最高着順で、勝ち星をあげることが出来なかった。
そこで早くも辛抱できなくなったのが、バムフォード卿夫人だったのか、夫人のレーシングマネージャーを務めるヒューゴ・ラッセル氏だったのか、そのあたりは明らかにされていないのだが、ラヴソーディープは売りに出されることになり、同馬は昨年のタタソールズ12月牝馬セールに登場。ここで、5万ギニー(約780万円)という、母の価格の19分の1という廉価で購入したのが、アダム・サングスター氏が営むスウェッテナム・スタッド・オーストラリアであった。
サングスター氏は、これだけの血統を背景に持つ牝馬が手に入るチャンスは、そうそうあることではなく、ディセンバーセールのカタログに同馬の名を見つけた時から、是が非にも手に入れたいと狙いを定めていたそうだ。
サングスター氏を含むパートナーシップの所有となったラヴソーディープは、リチャード・ハノン厩舎からジェーン・チャップルハイアム厩舎に移ったものの、3歳になった今季も英国で現役を続行。ひと冬越えたことで馬が変わったのか、4月10日にノッティンガムで行われたハンデ戦(芝10F50y)で今季初戦を迎えると、ここを快勝して初白星をゲット。続いて出走した、ヤーマスのハンデ戦(芝10F23y)も連勝し、サングスター氏をおおいに喜ばせることになった。
英オークス参戦を目論んだ陣営は、同馬の次走に5月8日にチェスターで行われたLRチェシェアオークス(芝11F75y)を選択。しかし、道悪をこなせずにここでは7着に敗退。オークス出走は幻に終わったものの、5月23日にグッドウッドで行われたLRハイトオヴファッションS(芝9F197y)では3着に健闘。これだけの競馬が出来るのであれば、重賞でも充分に通用すると見た陣営は、ラヴソーディープをロイヤルアスコットのG2リブルスデイルSにぶつけることを決めたのである。
ニューバリーのLRフィリーズトライアルS(芝10F)を勝った後、英オークスは回避したクイーンパワー(牝3、父シャマーダル)や、G3ミュージドラS(芝10F56y)で2着になった後、G1英オークスは6着だったフランケリーナ(牝3、父フランケル)といった有力馬を相手に、ラヴソーディープがどんな競馬をするか、英国の競馬関係者やファンもおおいに注目している。