世代交代前の必死の快走が伏兵の台頭を生む
6月の東京ダート1600mのオープン特別に定着したのは2012年から。過去7年の3着以内馬21頭のなかに、6歳以上馬が過半数の13頭。7歳以上のベテランホースがなんと3分の1の「7頭」もいる。逆に、4歳馬は2頭だけ。
2歳馬の入厩が増えているシーズン末。世代交代がどんどん進み、退厩を余儀なくされるベテランが多い。なんとかここで…という7歳以上馬の必死の快走が多いのだろう。馬券に関係したベテラン7頭は順に「3、4、10、6、7、10、7」番人気だった。今年から別定戦に変わるが、伏兵は6歳以上(とくに7歳以上馬)の激走。
昨年の6月23日、重馬場の東京ダート1600mの夏至S(当時1600万下)を、1分35秒2(上がり37秒2)で快勝している6歳ナムラミラクル(父スパイキュール)が狙える。前半1000m通過57秒9のハイペースを果敢に先行し、4コーナーで先頭に立つとそのまま押し切った。55キロだったとはいえ、現5歳オープンのスマートダンディーなどを完封しての好時計勝ちだからフロックではない。
そのあとここまで、オープンで【0-2-2-2】。武蔵野Sでサンライズノヴァの0秒2差3着した1分34秒9もある。今回は休み明けになるが、間隔を取りつつ長めから4本追い切って仕上がっている。昨年の夏至Sの快走も、直前の出走取り消しなどを含む休み明けだった。全5勝中の3勝が(夏至Sなど)藤懸貴志騎手(26)。ハデに活躍する若手ではないが、今年はここまで例年以上のペースで7勝を挙げている。この夏、そろそろブレークしたい。
著名な牝系ではないが、祖母シルバービオレ(父は芦毛のシルバーシャーク、母も芦毛のカネジョリー)は、送った産駒8頭がすべて芦毛だった。芦毛を伝える遺伝子を「芦毛しか出さない結合型」で持っていたと考えられる。ナムラミラクルはそうではないが、家系の珍しい芦毛を受け継いでいる。
8世代を送った父スパイキュール(その父サンデーサイレンス)の、最終世代から2番目になる数少ない産駒。同期には公営で大活躍するカツゲキキトキト(現在51戦27勝)、JRAの牝馬プリンシアコメータ(27戦7勝)がいる。ここまでの全5勝はもまれる不利が生じない外枠寄りだった。今回は13頭立ての9番枠。良績の少ない内を引かなかったのは幸運だろう。
7歳以上馬ではしぶとい8歳プロトコル(父スクリーンヒーロー)が侮れない。