スマートフォン版へ

名古屋・秋の陣

  • 2005年10月31日(月) 15時47分
 「JBC」がいよいよ明後日(3日)に迫ってきた。今年は名古屋競馬場。典型的な小回りコース。第1回大井、第2回盛岡、第3、4回大井と舞台が選ばれ、昨年発表時は少し違和感もあったが、本番が近づくにつれ、これはこれで面白そう…ワクワクする気持ちの方がむしろ強い。スプリント1200→1400m、クラシック2000→1900m。それでも、真に速い馬、強い馬なら十分対応できるだろう。何より「JBC」の創設理由は地方競馬活性化、ゆえに持ち回り制を原則としている。来年川崎競馬場開催というのも、意外性がイメージできてもちろん楽しみ。ファン動員、売り上げ、いい結果が出れば地方競馬の目玉として、その存在感が維持できる。

JBCクラシック(サラ3歳上 別定 交流GI 1900m)

◎サカラート    (57・秋山)
○タイムパドックス (57・武豊)
▲ナイキアディライト(57・石崎駿)
△シーキングザダイヤ(57・横山典)
△パーソナルラッシュ(57・藤田)
△ユートピア    (57・安藤勝)
△グレートステージ (55・田中学)
 レイナワルツ   (55・児島)
 クインオブクイン (53・濱口)
 
 サカラートの前走「日本テレビ盃」は、まさしく息をのむ強さだった。道中馬なりの2番手、直線ほんのひと気合で抜け出し、後続を瞬時に4馬身ちぎっている。重賞3連破。やや出し抜けという印象もあった東海S、ブリーダーズGCだが、この勝ちっぷりで根底から評価が変わった。阪神1800mレコードを持つ馬だから、元より中距離型だろう。小回りも問題なし。いまが円熟期と判断する。

 ナイキアディライト▲は多分にヒイキのようだが、スピード自体はGIレベル。先手を主張する限り、小回り適性、距離適性でチャンスがある。今回石崎駿ジョッキー。父が息子に手綱を譲ったところも興味深い。サカラート以下のJRA勢は、正直序列が難しく、底力ならタイムパラドックス、パーソナルラッシュ。機動力でユートピア、シーキングザダイヤ。アディライト以外の地方馬では、園田No.1グレートステージに注目する。4走前「兵庫チャンピオンシップ-GII」4着。ドンクールら相手にこれはという見せ場があった。

JBCスプリント(サラ3歳上 別定 交流GI 1400m)

◎アグネスジェダイ (56・小牧太)
○ブルーコンコルド (57・幸)
▲メイショウボーラー(57・福永)
△ニホンピロサート (57・安藤勝)
△ヨシノイチバンボシ(57・吉田稔)
△ノボトゥルー   (57・武豊)
△タイガーロータリー(57・内田利)
 ハタノアドニス  (57・御神本)
 トーシンブリザード(57・石崎駿)

 3歳アグネスジェダイに期待する。実績、格というならまだまだ甘いが、いかにも森秀行厩舎、鍛え抜くポリシー、それにぴたり順応する逞しさを同馬に感じた。デビューから休みなく18戦、しかもすでに10の競馬場を踏破している。磨かれてきたスピードと精神力。前走大井「東京盃」は、現実に時計以上、着差以上の圧勝だった。ビッグネームを一気に粉砕というムードがある。

ブルーコンコルドは今季3連勝が、そのままスプリンターの円熟だろう。ただ純粋な切れ味勝負型を思わせ、時計のかかる名古屋コースをどうこなすか。メイショウポーラーはかしわ記念凡走後の休み明けで、今回半信半疑というしかない。ニホンピロサートは東京盃の馬体減が少々不安。それなら佐賀・サマーチャンピオンでアグネスジェダイと接戦したヨシノイチバンボシにも狙い目が出る。

       ☆       ☆       ☆

平和賞(10月26日船橋 サラ2歳 別定 1600m 梢重)

◎(1)グッドストーン  (54・石崎駿) 1分43秒3
○(2)ラッキートゥモロウ(54・宮崎光) 4
 (3)キタニッポン   (54・的場文) 3
△(4)スペースシップ  (54・左海)  4
△(5)ヒロヤスキングオー(54・左藤博) 1
………………………
△(6)コーラスマスター (54・内田博)
▲(8)ハートフルドリーム(53・張田)

単110円 馬複430円 馬単520円
3連複1,440円 3連単2,760円

 グッドストーンが圧勝で無傷のV5、同時に重賞初タイトルを獲得した。絶好のスタート、その時点で1馬身ほどもリードがあり、あとは他馬の出方をうかがう余裕。結局イン(2番枠)を自然流に回る形でマイペースに持ち込んだ。向正面から3コーナー、直後のキタニッポン、コーラスマスター、インを追い上げるラッキートゥモロウ、レースが徐々に動く中、ただ1頭、淡々飄々と正確なラップを刻む。直線中ほど、ようやく鞍上からGOサインが出ると瞬時に反応。スムーズな加速で勝負を決めた。「なりゆきで逃げただけ。折り合いがつくし自信を持って乗れました」(石崎駿騎手)。1600m・1分43秒3は数字上とるに足らない。しかしとるに足らない時計で、現実に余裕十分の5連勝を決めてきた。今回北海道組も参戦し、それで結果4馬身差は、やはり大きな自信、裏付けになっただろう。「これだけ手のかからない、落ち着いた2歳馬は初めて。ただ完成度は高いけれど、一戦ごとの成長にも胸が張れます」(岡林調教師)。パドックの周回中にわかに立ち止まり、どうしたのかと思えばそこで悠々と放尿した。1分近く。度胸があって動じない性格、そういうことか。何やら不思議な2歳馬ではある。

 ラッキートゥモロウの2着は地力と1600m適性だが、決定的な4馬身差をつけられ時計的にもほめられない。キタニッポン、ハートフルドリームも、結果的に道営2〜3線クラスがやっとということだろう。ダーレー・コーラスマスターは、押してグッドストーンを追走したが4コーナー手前で失速。ただし強敵相手の1000→1600mはいい経験になったはず。パドックでみた馬体など、さすが期待馬という雰囲気を持っていた。話を戻してグッドストーン。次走は11月16日大井「ハイセイコー記念」で、ひとまず南関2歳No.1を確定する思惑と聞いた。続く交流GI「全日本2歳優駿」は、そのレースぶりしだいで出否が決まる。

        ☆       ☆       ☆

 10月29日「武蔵野S」のアジュディミツオーは、結果4着ながら納得のいく競馬をした。東京初コース、59kg、スタート地点が芝ということもあったか、いつになくテンに行けず、それでも直線馬混みの中をしっかり伸びた。あまり経験のないマイル戦、本質的にやや忙しいかもしれない。出遅れを大外一気に追い上げたカネヒキリ。なるほどライバルの底力も改めて痛感したが、ミツオー自身は、次走「JCダート」へ向けて確かな手応えをつかんでいる。11月26日、2100m。胸を張って臨めるだろう。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング