豪華メンバー登場、世代交代なるか
6月26日(水)、大井競馬場で行われる上半期ダート王決定戦『第42回帝王賞』。長い歴史の中で数々の名勝負が生まれた大一番。ゴールドドリームとルヴァンスレーヴ、2頭の回避は残念ですが、それでも実力馬が揃う群雄割拠の現状。JRA勢、地方勢ともにチャンピオンの称号に相応しいメンバーが揃いました。令和元年、新しい“帝王”の座をかけて頂上決戦の火蓋が切られます。
まず、JRAの6頭からご紹介しましょう。
オメガパフュームは昨年「ハイレベルな3歳世代」と話題を集めた2015年生まれを代表する1頭。ジャパンダートダービーでルヴァンスレーヴの2着となり頭角を現すと、古馬との初対戦、シリウスSで重賞初制覇。続くJBCクラシックではケイティブレイブの2着に健闘。チャンピオンズCは5着でしたが、東京大賞典ではゴールドドリーム、ケイティブレイブら並み居るトップホースを相手に勝利を収め、アジュディミツオー以来14年ぶりとなる3歳馬による東京大賞典制覇を成し遂げました。直線半ば過ぎ、先に抜け出したケイティブレイブを捕らえ、並んで進出してきたゴールドドリームを抑えてゴール。有力馬3頭の壮絶な叩き合いを制した価値ある勝利でした。今回の鞍上は南関東競馬(船橋・川島正一厩舎所属)で期間限定騎乗が決まったダミアン・レーン騎手。JRAで旋風を巻き起こしたレーン騎手が、帝王賞と同舞台で、この馬の光る末脚を遺憾なく発揮してくれることでしょう。
同じ舞台の東京大賞典制覇したオメガパフューム(写真は18年東京大賞典優勝時、撮影:高橋正和)
チュウワウィザードもハイレベルな2015年生まれの一角を占める1頭。こちらも昨年12月、古馬相手に名古屋グランプリを制して重賞初制覇。年明け1月の東海Sではインティの2着。ダイオライト記念では今回も対戦相手となるアポロケンタッキー(2着)、オールブラッシュ(3着)、ミツバ(4着)、サウンドトゥルー(5着)を破って勝利。前走・平安Sでは後方からの競馬になるも直線で差し切り、ダートグレード競走3勝目を挙げました。堂々たる戦歴でJpnIの舞台に初登場。オメガパフュームと再びの対戦で、同世代2頭によるライバル対決からも目が離せません。
ダートグレード競走3勝のチュウワウィザード(写真は19年ダイオライト記念優勝時、撮影:高橋正和)
インティは7連勝でフェブラリーSを制覇。GI初出走で強豪相手に逃げ、ゴール前で差を詰めてきたゴールドドリームに並ばせることなくクビ差ゴール。見た目の着差以上の強さを見せ、デビューからわずか8戦でGIタイトルを手にしました。地方競馬初参戦だった前走・かしわ記念ではそのゴールドドリームに差されて2着。連勝はストップしましたが、引き続き有力馬であることは変わりなく、船橋から大井に舞台が移っての変わり身に期待。2000mは初めてで距離延長がカギとなりますが、帝王賞5勝の武豊騎手(2005年タイムパラドックス・2009年ヴァーミリアン・2011年スマートファルコン・2014年ワンダーアキュート・2016年コパノリッキー)が勝利へ導いてくれるのではないでしょうか。
7連勝でフェブラリーSを制したインティ(写真は19年フェブラリーS優勝時、撮影:下野雄規)
アポロケンタッキーは2016年東京大賞典の勝ち馬。その後は2017年9月の日本テレビ盃以来勝ち星からは遠ざかっていますが、今年に入って川崎記念4着、ダイオライト記念2着、かしわ記念3着と掲示板を外さない安定した走り。帝王賞は2017年5着、2018年11着ですが、GIを制した舞台での復活を目指します。
勝ち星は遠ざかっているが、復調気配のアポロケンタッキー(写真は16年東京大賞典優勝時、撮影:高橋正和)
オールブラッシュは2017年川崎記念、2018年浦和記念を制しているダートグレード競走2勝馬。今年に入って川崎記念3着、ダイオライト記念3着、かしわ記念4着とこちらもアポロケンタッキー同様復調気配。大井競馬場での成績を見ると、2017年の帝王賞6着、同年JBCクラシック6着、2018年の帝王賞9着と、3戦とも成績不振で、コース適性に不安も。
コース適正は不安も復調気配にあるオールブラッシュ(写真は18年浦和記念優勝時、撮影:高橋正和)
ミツバは今年の川崎記念を始め、2017年、2018年のマーキュリーCを連覇したダートグレード競走3勝馬。大井競馬場では2戦していて、2017年のJBCクラシック3着、2017年の東京大賞典6着。勝利した重賞は全て左回りですが、地方競馬の右回りでは勝利が有りません。こちらもコースへの対応がカギとなりそうです。
今年の川崎記念を制したミツバ(写真は19年川崎記念優勝時、撮影:高橋正和)
ここからは注目の地方馬をご紹介。実は帝王賞の歴史を振り返ると、地方馬の活躍も目立つレース。1997年にダートグレード競走となって以来、コンサートボーイ(1997年)、アブクマポーロ(1998年)、メイセイオペラ(1999年)、マキバスナイパー(2001年)、ネームヴァリュー(2003年)、アジュディミツオー(2006年)、フリオーソ(2008年、2010年)の7頭が8勝を挙げています。地方競馬史に名を残すこれらの名馬たちと肩を並べる可能性を秘めた、楽しみな1頭が出走します。
その期待の星は、北海道のスーパーステション! 3歳時に門別の王冠賞、水沢のダービーグランプリを制覇。昨年はホッカイドウ競馬のシーズン中、4月のコスモバルク記念から11月の道営記念まで6戦6勝、ホッカイドウ競馬・年間古馬中長距離重賞完全制覇の快挙を成し遂げました。暮れの東京大賞典ではオメガパフュームの6着に敗れましたが、今季のコスモバルク記念、前走・赤レンガ記念、ともに大楽勝で連覇達成。5歳になってさらなる成長を見せている現在、東京大賞典以上の成績が狙えそうです。インティとの先行争いにも注目。海外遠征で経験を積んだ阿部龍騎手の手腕にも期待します。
成長を見せるスーパーステションに注目(写真は18年道営記念優勝時、撮影:田中哲実)
大井のモジアナフレイバーは昨年、勝島王冠を制したあと東京大賞典で9着。その後休養を経て前走・大井記念で重賞2勝目を挙げました。成長著しい4歳馬、改めて東京大賞典以上の着順を狙います。
4歳馬・大井のモジアナフレイバー(写真は18年勝島王冠出走時、撮影:高橋正和)
大井所属となって初めてのレースを迎えるノンコノユメ。大井競馬場では2015年のジャパンダートダービーを制しており、2016年の帝王賞ではコパノリッキーの2着。昨年2月のフェブラリーS1着以来、不振が続いていますが、立場が変わって改めての変わり身に期待です。
地方に移籍して変わり身が期待できるノンコノユメ(写真は18年フェブラリーS優勝時、撮影:下野雄規)
船橋のサウンドトゥルーは2015年の東京大賞典、2016年のチャンピオンズC、2017年のJBCクラシックとGI・JpnI3勝を挙げている実績馬。昨年12月に地方競馬の仲間入りをして以降、今年2月の金盃を勝っているだけですが、果たして往年の力を発揮できる状態にあるのか? 無視は出来ない1頭です。
実績馬サウンドトゥルーも無視できない(写真は19年大井記念出走時、撮影:高橋正和)
昨年4着で地方馬最先着だった船橋のリッカルド。2017年の平安S、2018年のアンタレスSを制覇している佐賀のグレイトパールも参戦。どちらもJRAから移籍し、新天地で活躍している馬たちです。
昨年の4着馬リッカルド(写真は18年報知グランプリC出走時、撮影:武田明彦)
復権狙うグレイトパール(写真は19年オグリキャップ記念出走時、撮影:高橋正和)
【今回のイチオシ馬】
・オメガパフューム
大井の2000mでGI・東京大賞典を制しているのは最大のアドバンテージ。新世代のチャンピオンを目指す。
【気になる馬】
・スーパーステション
同世代のインティとともに4歳馬たちには負けられない戦い。アジュディミツオー、フリオーソのような地方馬の代表的な存在へと羽ばたいて欲しい。
過去の帝王賞に出走経験のある馬たちが何頭かいますが、今回は“帝王賞初登場”のメンバーの中に勝ち馬がいるのでは?その中でもオメガパフューム、チュウワウィザード、インティ、スーパーステションが有力候補。4歳vs5歳の世代対決も実に楽しみです!
■
帝王賞の出馬表はこちら→→→ ■
場外発売所一覧はこちら→→→ ■
大井競馬のホームページはこちら→→→ ■
地方競馬情報サイトはこちら→→→