今、武豊騎手の語ることばのひとつひとつが注目されています。世紀の名馬ディープインパクトを、彼がどう言いあらわすか。これは間違いなく後世に伝えられていくからで、無敗の三冠馬伝説が、着実につくられています。この時代に居合わせたことが、とてつもない貴重な宝物を手にしたのと同じなのだということに、やがてみんなが気づくときがくるのだと思うと、目の前に起こっていることをしっかり記憶しておくべきでしょう。
レースの終盤、勝利を確信したときの、空を飛ぶような走り、楽しくてしようがないといった感じ、これこそ、ディープインパクトの凄さを物語ったことばです。どんなに離されていても、彼ならやってくれる、その力を信じて乗っている武豊騎手の思いが伝わってきます。
菊花賞の単勝1.0倍。多くのファンが夢を託した京都のスタンドは、全てがその瞬間だけに期待を寄せ、異様なムードにつつまれていました。その中で目標を達成した人馬がどんなであったか、それは当事者にしかわからないこと。時代の証言者のひとりとして、武豊騎手のことばは、ずっと残されていくことになります。
エンペラーズカップ100年記念の秋の天皇賞に、天皇・皇后両陛下の行幸啓をたまわったことも、後のちに語り伝えられていく出来事であり、今年の中央競馬は、記念すべき一年になりました。
残された日程で注目されるのは、無敗のままディープインパクトが年度代表馬に選ばれることであり、そのまま現役無敗馬として現役を全うすることです。走り続けている限り、三冠のひとつひとつで受けた大声援のうずの中で走ることになり、ブームがブームを生む現象がくり返されていくでしょう。そして、ストップ・ザ・ディープインパクトが起り得るのか、ささやかであってもその思いもやがて出てくるのではないでしょうか。