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セラピーホースのエース・プレストシンボリ(3)「適材適所」それぞれの個性を生かして…

  • 2019年07月09日(火) 18時00分
第二のストーリー

▲アンちゃんことアンヴェイル(撮影:佐々木祥恵)


大竹調教師の愛馬も仲間入り


 ヒポトピアの仲間に途中から加わったアンヴェイル(セン14)は、栗毛で顔には大きな作があり、左前脚以外、3本の脚に白いソックスをはいた派手ないでたちの馬だ。500キロ超えの雄大な馬格の持ち主だが、日中馬房にいる時は、下唇を緩めていつもウトウトしている。

 アンヴェイルは2005年1月15日に、北海道白老町の社台コーポレーション白老ファームで生まれた。父は、フランス生まれのローザネイから派生した薔薇一族出身のロサード、母はヴェイルデラルナ、その父がサンダーガルチという血統だ。サンデーレーシングの所有馬として、栗東の橋口弘次郎厩舎から2007年6月24日にデビュー。芝1400mの新馬戦は2番人気で5着に敗れ、2戦目の未勝利戦で落馬競走中止があったりと、しばらく勝てない状況が続き、年が明けて2月10日の小倉の芝1800mの未勝利戦で初勝利を挙げた。この頃はまだ後方ないしは中団のポジションから運んで直線で差してくるというスタイルだった。

 2009年3月、美浦の大竹正博厩舎の開業に合わせてアンヴェイルは栗東から美浦へと移動してきた。大竹厩舎の管理馬となった初戦は、3月8日、中山のダート1800m。後方から進んでいたアンヴェイルだが、途中外からまくっていき、残り800m付近で一気に先頭に立つとそのまま逃げ込みを図った。最後はアサクサゼットキに差されたものの2着と、これまでとは全く違う一面を覗かせるレースとなった。転厩後2戦目も前走と同条件で、引き続き松岡正海騎手が手綱を取った。今回は堂々の1番人気に推されていたが、デビュー以来初めてハナを切ると、後続に大きな差をつけてハイペースで大逃げを打つ形となった。だがその脚色は衰えることなく、4コーナーを回る時も後続に10馬身以上リード。直線でもその差は容易には縮まらず、結局5馬身差をつけての逃げ切りで自身2勝目。そしてこれが大竹厩舎の初勝利となったのだった。

 3勝目は2010年1月の中山、4歳以上500万下のダート1800m。やはり松岡騎手が騎乗してハイペースで飛ばして逃げ切り勝ちを収めた。2011年1月には中山の4歳以上1000万下のダート1800mで、松岡騎手鞍上でこれまたハイペースで逃げて勝利する。ハナに立たずに競馬をすることもあったが、結果を見ると中山のダート1800mで、松岡騎手が騎乗してのハイペースの逃げた時に、アンヴェイルは勝ち星を挙げたことになる。

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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