出身活躍馬から見えてくるセレクトセールとの違い
前回はセレクトセール1歳セッションについて書いたが、今回はその翌週に行われたHBAセレクションセールについて触れてみようと思う。
POGに特に関係ありそうな種牡馬では、ドゥラメンテとモーリスの売れ具合がセレクトセールとは逆になったところが印象的だった。
ドゥラメンテ産駒の最高価格は母パラフレーズの牡馬で、上に中央特別勝ちが2頭。もともとドゥラメンテで高くなるのはこれだろうなと思われていた馬だった。
ただ、同馬より高かったモーリスが3頭出たあたりは、セレクトセールと構図が異なる。また、ドゥラメンテ産駒の価格2位は税込でも2000万円未満(母クイーンギムレットの牡馬で岡田繁幸氏が購入)。ドゥラメンテ1位と2位の間にはモーリス産駒がさらに3頭いて、うち2頭は牝馬だった(牝馬の価格1、2位はともにモーリス産駒)。
モーリス産駒を買った、あるいは競ったプレイヤーからよく聞かれた感想が、「モーリスに関してはセレクトよりセレクションのほうが馬が良い」というもの。その見立てが合っているのかどうか、来年・再来年の答え合わせが楽しみだ。ノーザンファームが購買した母スマッシュハートの牡馬に走られてしまうというオチもありえなくはないが(笑)。
一方、全体を通じての最高価格はパイロ×オーシャンフリートの牡馬(3888万円)だった。最初に縁起の悪い話をしてしまうと、セレクションセール最高価格馬は現10歳〜3歳の8世代連続で中央未勝利を続けている。ただその8頭はいずれも、その時点で社台スタリオンステーションに繋養されていた種牡馬の産駒で、「日高路線」の最高価格馬は久々。ちょっと流れを変えてくれそうな存在に思える。ブラックタイプの価値だけでこの値段になる感じではないので、それだけデキも評価されたのだろう。
この馬がどんな結果を残すのかは分からないが、ダートっぽい方向性をこのセールで攻めるのはアリだと思う。3〜12歳のセレクションセール出身活躍馬はホッコータルマエ(ダート)、ビッグアーサー(短距離)、エーシンホワイティ(障害)など、ノーザンファームが強い芝のマイル〜2400m以外のジャンルで走った馬が目立つ。もちろんショウナンマイティのように芝の中距離で走った馬もいるのだが、芝中距離前後の活躍馬は晩成であったりローカル巧者であったりが多い。セレクトセールとは違う切り口を探すというのもまた、セレクションセールの面白さだろう。