スマートフォン版へ

レース中のプレッシャーの掛け方 騎手だけが知るギリギリの攻防とは!?

  • 2019年08月06日(火) 18時01分
太論

▲ユーザーからの質問に小牧騎手がお答えします!


先週は土曜日のエイシンヨッシーで9番人気2着、日曜日のニホンピロランドで7勝目を挙げるなど、灼熱の小倉で気を吐いた小牧騎手。それらのレース回顧は来週じっくりお届けするとして、今回の『太論』は「レース中のプレッシャー」と「馬具のこだわり」がテーマです。レース中の騎手だけが知るギリギリの攻防が明らかに!?(取材・文:不破由妃子)


コンビニに売っている手袋が一番使いやすい!?


──今回は、レース中の攻防についてのこんな質問から。「よくレースを振り返って、『プレッシャーがきつかった』というようなコメントを見かけますが、具体的にどんなプレッシャーの掛け方があるのでしょうか。逆に嫌だなぁと思うプレッシャーの掛けられ方はどんなものですか?」。

小牧 わかりやすい例では、逃げている馬に競り掛けたりも当然そうだけど、あとは進路を開けないとかね。力はあるのに馬群から出られなかったときとかは、プレッシャーがきつかったなぁと思うね。

──逃げている場合、明らかに競りかけてくること以外に、2番手の馬にやられて嫌なことってあります?

小牧 同じペースで後ろを付いてくるぶんには何も思わんけど、自分のペースを乱されるような形はそれこそプレッシャーやね。ちょっと速いなぁと思っても、微妙な距離感でピッタリついてこられたりしていたら引くに引けんからね。

──その距離感にテクニックが表れそうですね。逆に小牧さんが2番手につけている場合、逃げている馬にどんなプレッシャーをかけますか?

小牧 自分の馬に力があれば、さっき言ったように相手のペースを乱しにいくこともあるよ。ただ、ちょっと力が足りないかなと思う場合はジッとしておく。そこは相手の力と自分の手応えで判断するかな。

──位置取りを問わず、あくまでテクニックの範疇でやられて嫌なことは?

小牧 自分より内にいる馬に、コーナーで予想以上に外に張られたりとか。あとは、空いているスペースに入っていこうとしたら締められたりね。あからさまな場合は進路妨害になるからギリギリの攻防やけど、まぁテクニックといえばテクニックやね。

──続いての質問です。「雨の日などは、やはり手綱が滑りやすくなるものですか? ヒヤッとした経験などはありますか?」。

小牧 滑らんように手袋をしているからね。雨の日用の手袋がとくにあるわけじゃないけど、いつもの手袋をはめていれば滑らないですよ。それこそツルツルになるまで使い込まれた手綱じゃない限りね。

──ゴム手綱ですよね?

小牧 うん、みんなゴム手綱。手袋もゴムやしね。しかも僕が使っている手袋は、コンビニとかで売ってる安いやつやで。

──コンビニで売ってるんですか?

小牧 うん。ホームセンターとかコンビニに、よく作業用の薄い手袋が売ってますやん。僕はあれが一番乗りやすい。冬は寒いからそのまま使うけど、基本的に指の部分は切り落としてね。ゴルフ用の手袋を使っている人もいるし、そもそも手袋をしていないジョッキーもいる。僕は手が痛いから常にしているけど、素材も含めて人それぞれやね。

──ジョッキーたちにとっては、工夫のしどころというか、こだわりポイントなんでしょうね。

小牧 どうなんだろう。消耗品やし、僕は滑らなければ基本的に何でもいい。ブランドの名前がついたジョッキーグローブは何千円もするけど、僕が使っているのは何百円やからね。滑らないし乗りやすいし、本当に使い心地がいい。

──馬の装備で一番差が出るというか、こだわりが出るのはどこだと思いますか?

小牧 それもみんなそれぞれだと思うけど、やっぱり鐙じゃないかな。鐙は何万円もするからね。僕専用の鐙を作ってくれる鉄工所を探したいくらい(笑)。

──鐙はここ数年で種類も増えていますよね。

小牧 そうそう。どんどん人間が楽に乗れるようになってる。昔は細いところにひっかけるような感じで乗っていたけど、今はもうステップ型だからね。

──半円形のステップ型ですか?

小牧 いや、僕の鐙は四角いステップ。とにかく何種類もあるから、こだわりが反映されやすいのはやっぱり鐙だと思う。鞍とかは一緒やし、腹帯も軽いか重いかだけやし。あ、あとは鞭も人それぞれやね。いろいろ規定はあるけど、その範囲で自由度もあるから、僕は昔からあんまりしならない鞭を作ってもらってる。そこは確かにこだわりポイントやね。

太論

僕専用の鐙を作ってくれる鉄工所を探したいくらい(笑)

質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング