ヨーロッパの年度表彰「カルティエ賞」の2005年の受賞馬が、16日(水曜日)にロンドンのフォーシーズンズ・ホテルで行われたパーティーの席上で発表され、以下の受賞馬が発表された。
年度代表馬 ハリケーンラン
2歳牡馬 ジョージワシントン
2歳牝馬 ランプルスキルトスキン
3歳牡馬 ハリケーンラン
3歳牝馬 ディヴァインプロポーションズ
古馬 アザムール
ステイヤー ウェスターナー
スプリンター エイヴォンブリッジ
特別功労賞 ヘンリー・セシル調教師
今年は、馬の部門では特に大きなサプライズはなし。と言うか、下馬評の段階からどのカテゴリーも揉める要素はあまりないと見られていたのだ。年度代表馬は、仏2000ギニー&仏ダービーの2冠に加えてロイヤル開催のセントジェームスパレスSを制したシャマーダルを推す声もあったと聞く。実際に仏ダービーでは、ハリケーンランを破ってもいる。だがシャマーダルには古馬を破った星がなく、春の愛ダービーに加えて、秋の凱旋門賞で古馬を木っ端みじんに打ち砕いたハリケーンランで仕方がないというのが、大方の見るところであった。
伯仲というよりも、候補が見当たらずに選考が難しかったのが、スプリンターだ。今季のヨーロッパは、スプリントG1の勝ち馬がバラバラ。アベイユ賞(仏G1)優勝に加えてG3勝ちが1つあり、かつジュライC(英G1)2着の成績があるエイヴォンブリッジと、ナンソープS(英G1)優勝に加えてG3勝ちが1つあり、かつスプリントC(英G1)2着の成績があるラクカラチャの2頭に、優劣をつけるのは難しかったと思う。
さて、馬の部門が平穏だった一方で、多くの人が「おやっ」という印象を持ったのが特別功労賞だった。ヘンリー・セシルの、英国のチャンピオントレーナーになること10回という実績は、間違いなく功労賞に相応しいものだ。
だが「なぜ今年、彼なのか」という点で「おやっ」なのだ。かつてのリーディング上位の常連も、2000年を境に成績が急降下。今季の成績など、総収得賞金わずか14万5千ポンドでリーディング93位と、昔日の栄光は見るかげもない。
これだけ成績が落ちれば、馬主も離れるのが当たり前。管理頭数が減れば従業員も減らさざるを得ず、今季終了後には遂に、長年ヘッドグルームとして厩舎を引っ張ってきたフランク・コンロン、トラヴェリング・ヘッドラッドのスチュワート・ブロードヘッドまで解雇される事態となった。一部では、来季がセシルにとって最後の年になるのでは、との噂がしきりなのである。このタイミングで特別功労賞とは、そろそろ退き時ですよと背中を押しているようなもので、授賞の席でも浮かない表情のセシル師なのであった。