▲4人目の証言者は西村淳也騎手、デビュー2年目の若手の本音とは (C)netkeiba.com
ここ数年でジョッキーの起用法に変化が現れ、テン乗りや乗り替わりが当たり前の時代となりました。それと同時に、1頭の馬に一人のジョッキーが乗り続けることが貴重となり、そのコントラストは年々強くなっています。
その是非はともかく、やはりジョッキーたちのレースに対する向き合い方も変わってきているはずです。そこで今回は、テン乗りと連続騎乗のメリットとデメリットをどう捉え、どう戦っているのか、様々な立場・年代の現役ジョッキー4人を含む5人のホースマンに直撃取材を敢行。それぞれの感性とスタンスを通して、今を戦うジョッキーたちのリアルに迫ります。
4人目の証言者は西村淳也騎手。今年は現在までに42勝を挙げるなど飛躍の年を迎えている西村騎手ですが、その勝利の約60%がテン乗りでの勝利。はたしてその原動力はどこにあるのか──。彼の揺るぎないスタイルを通して、その強さに迫ります。
(取材・文=不破由妃子)
テン乗りは先入観がないので、躊躇せずに乗れる
──今年は早くも昨年(13勝)を大きく上回る勝利数(8月25日現在、42勝)をマーク。その内容を調べたところ、そのうち約60%がテン乗りでの勝利でした。
西村 そうなんですね。初めて知りました(笑)。
──連続、断続騎乗より、むしろテン乗りが多いといわれる時代ではありますが、それだけの結果を残す陰には、やはり西村騎手ならではの感性やスタンスがあるのではないかと。今日はそのあたりを中心にお聞きしたいと思っています。まず、初めて乗る馬に対しては、どういった下準備をしていますか?
西村 最低でも前3走のレース映像は見ますし、前に乗ったジョッキーに話を聞いたりもしますけど、それほど深くリサーチすることはないですね。ゲートを切ってからの感覚を重視しているというか。
──なるほど。理詰めで乗るタイプではないんですね。
西村 そうですね。頭で考えて乗るタイプではないと思っています。ただ、返し馬を中心に、下見所で跨ったときからゲートに入るまでの時間をすごく大事にしています。