●アプローズユウ(牝 美浦・手塚貴久 父ルーラーシップ、母アユサン)
母は桜花賞馬アユサン。下河辺牧場の生産馬で「ルーラーシップ×ディープインパクト」の組み合わせといえばキセキ(17年菊花賞-GI)を思い出す。この組み合わせは他にヴィッテルスバッハ(19年ニュージーランドT-GII・3着)、イシュトヴァーン(OP)などが出ており成功している。母の全妹マウレアはチューリップ賞(GII)2着、阪神JF(GI)3着など成績を残しており、ファミリーの活力を感じさせる。
母アユサンは「ディープインパクト×Storm Cat」の組み合わせで、これはエイシンヒカリ(16年イスパーン賞-仏G1、15年香港C-G1)、リアルスティール(16年ドバイターフ-G1)、キズナ(13年日本ダービー-GI)、ラキシス(14年エリザベス女王杯-GI)、サトノアラジン(17年安田記念-GI)など多くの活躍馬が誕生している。この組み合わせを持つ繁殖牝馬も悪くなく、ファルコンS(GIII)を勝ったハッピーアワー(父ハービンジャー)が出ている。本馬もいいところがありそうだ。芝向きの中距離タイプ。
●クロトノーナ(牝 美浦・大和田成 父ルーラーシップ、母クロノロジスト)
ノームコア(19年ヴィクトリアマイル-GI、18年紫苑S-GIII/父ハービンジャー)、クロノジェネシス(19年クイーンC-GIII/父バゴ)、ハピネスダンサー(16年小倉大賞典-GIII・5着/父メイショウサムソン)の半妹。2代母インディスユニゾンに出走歴はないが、フサイチエアデール(99年報知杯4歳牝馬特別-GIIなど重賞4勝)の全妹にあたる良血。
「ルーラーシップ×クロフネ×サンデーサイレンス」の組み合わせから誕生したノーザンファーム生産馬は、JRAで出走した6頭中4頭が勝ち上がり、リオンリオン(19年青葉賞-GII)、リリーノーブル(18年阪神JF-2着、18年オークス-2着、18年桜花賞-3着)、ダノンディスタンス(17年京都新聞杯-GII・3着)、ロサグラウカ(現3勝クラス)と粒ぞろい。小柄な牝馬だが血統的なポテンシャルは高いので期待したい。芝向きの中距離タイプ。
●ゴルトベルク(牝 美浦・手塚貴久 父キングカメハメハ、母グルヴェイグ)
京都2歳S(GIII)で2着となったヴァナヘイムの全妹。母グルヴェイグはマーメイドS(GIII)の勝ち馬で、アドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)の3/4妹にあたる。2代母は牝馬ながら年度代表馬に輝いたエアグルーヴ(97年天皇賞・秋-GI、96年オークス-GI)。
本馬は父がキングカメハメハなので、二冠馬ドゥラメンテ(15年日本ダービー-GI、15年皐月賞-GI)と7/8同血、ルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香G1)と3/4同血の関係となる。本馬とドゥラメンテは、母の父がサンデーサイレンスかディープインパクトかの違いしかない。芝中距離向きで成長力があり、切れる脚があれば大きなところを狙える。
●サングノーブル(牡 栗東・池添学 父ロードカナロア、母サングレアル)
母サングレアルは現役時代にフローラS(GII)を勝ち、秋華賞(GI)でも5着となった。400kgそこそこの小柄な馬体で、体格的なハンディキャップがありながらGIIを勝ったのは良血の賜物だろう。
母の兄弟にはブエナビスタ(11年ジャパンC-GIなどGIを6勝)、ジョワドヴィーヴル(11年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)、アドマイヤオーラ(07年弥生賞-GIIなど重賞3勝)、アドマイヤジャパン(05年京成杯-GIII)、トーセンレーヴ(12年エプソムC-GIII)と重賞勝ち馬が並んでおり、2代母ビワハイジは阪神3歳牝馬S(GI)を含めて重賞を3勝した名牝。本馬は母の初仔で、「ロードカナロア×ゼンノロブロイ」の組み合わせはゴールドギア(18年ニュージーランドT-GII・4着、17年東京スポーツ杯2歳S-GIII・5着)と同じ。芝向きのマイラーだろう。
●ラストブラッサム(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母レディブラッサム)
国内外でGIを6勝し、年度代表馬とJRA顕彰馬に選出されたロードカナロア。種牡馬としても非凡な才能を示している。本馬はその全弟にあたる。母が21歳時の産駒で、現1歳に産駒はいないため、馬名のとおりこれが母レディブラッサムの最後の産駒となる可能性が高い。
2代母サラトガデューは北米で11戦8勝、ベルダムS(G1)、ガゼルH(G1)、カムリーS(G2)などを制覇した名牝。母の父Storm Catは「Northern Dancer+Secretariat」という構成で、キングカメハメハ産駒はこのパターンの血と好相性を示している。ロードカナロアのほかにローズキングダム(ローザネイ)、ベルシャザール(セクレト)、エオリアンハープ(シークレットシェアラー)などが当てはまる。配合的には申し分ないのであとは馬のデキ。1歳上の全兄ロードオヒアは7戦して4着が最高着順だった。ロードカナロアに近い存在となることを期待したい。