▲名馬を振り返る「ベストパートナー」、今回はネオユニヴァース編 (C)netkeiba.com
今回のテーマは「ベストパートナー」と題し、過去にミルコ騎手が騎乗した名馬を振り返ります。ピックアップするのは、2003年の二冠馬ネオユニヴァース。ミルコ騎手に「一番愛してる馬」と言わしめる、その魅力とは。
(取材・文=森カオル)
※この記事は2019年09月に掲載しました
僕とあの馬は、初めて乗ったときから喋っていた
──リニューアル後の『Road to No.1』では、ミルコ騎手の騎手人生に燦然と輝く過去のパートナーたちを振り返る回を設け、当時の思い出を伺いながら、騎手と馬たちの一期一会に迫っていきたいと思っています。最初に取り上げるのは、ミルコ騎手に記念すべき初GIタイトル(JRA)をもたらしたネオユニヴァースです。
ミルコ おお、ネオユニヴァース! 一番愛してる馬だね。競走馬としての強さでいえばドゥラメンテのほうが上だけど、ネオユニヴァースのほうが印象は強いですね。あの年(2003年)は忘れられない。皐月賞とダービーを勝って。
──初めて跨ったのはスプリングS(1着)の追い切りだったと思いますが、ファーストコンタクトの印象は?
ミルコ もう最高だったよ。僕とあの馬は、初めて乗ったときから喋っていた感じ。
▲ミルコ騎手との初コンビとなったスプリングS (撮影:下野雄規)
──すぐに通じ合えたということですか?
ミルコ そうですね。僕のことをすぐにわかってくれたし、僕もネオユニヴァースのことはすぐにわかった。なんていうのかな…、立ち上がったりしてずーっと暴れていたんだけど、うれしくて暴れているだけなのがわかったから、全然危ないと思わなかった。もうホントに子供みたいな感じで。
あの馬のことは、今でも愛してる。今年は日高で繋養されていて、ちょっと遠いから会いに行く時間を作れなかったんだけど、去年までは毎年社台スタリオンに会いに行ってた。
──そうだったんですね。ミルコ騎手が会いに行くと、どんな反応を見せるんですか?
ミルコ 集中してずーっと僕のことを見てるよ。僕のことを憶えてくれているのは、目を見ればわかる。たぶんだけど(笑)。
──スプリングSは、1番人気こそサクラプレジデントに譲りましたが、3〜4コーナーで外から一気にポジションを上げていく強気な競馬で、最後はサクラプレジデントをねじ伏せるような勝ちっぷりでしたね。「これは強い!」と思ったので、すごく印象に残っています。
ミルコ あれは強い馬にしかできない競馬だった。調教では「さすが!」と思わせてくれたけど、馬って競馬に行くと変わる場合があるでしょ? だから、スプリングSでは、どのくらいのスタミナがあって、どのくらいの脚を使えるのか、ちょっと試したような感じですね。
──あえて厳しい競馬をさせてみたわけですね。
ミルコ そうですね。そうしたら、すごく強い勝ち方をしてくれて。調教のイメージ通り、ホントに走る馬だった。だから、皐月賞は自信を持ってあの乗り方に。
──皐月賞では、混戦のなか1番人気に。枠(3番)なりに内々の中団を進み、直線は1頭分の狭いスペースを突いて。
ミルコ 中山の直線であそこが開くなんて、今思うとものすごく運がよかったですね。普通はなかなか開かない。日本の競馬に20年乗っているけど、あの皐月賞こそ一番の奇跡です。ホントに奇跡の競走だった。
ネオユニヴァースの性格も、ああいう展開に向いてましたね。とにかく「負けないぞ!」っていう気持ちが強い馬だったから。あのときもね、耳を絞りながらも、最後までよく頑張りました。
──サクラプレジデントのマッチレースをアタマ差制したわけですが、ゴール直後に田中勝春騎手の頭を叩いたのが話題になって…。
▲サクラプレジデントとのマッチレースを制して優勝 (撮影:下野雄規)
ミルコ 僕、まだ若かったね(苦笑)。イタリアはあんまり先輩とか後輩とか関係ないから、ついついそのノリで…。勝春さんはすごくいい人で、短期免許で来ている頃からジョッキーのなかで一番優しかった。だから、その前から仲良くしていたのもあって。それに、もちろんネオユニヴァースは強かったけど、勝春さんもすごくいい乗り方をしてました。
──外から馬体を併せてきて、ネオを内に押し込めるような感じでしたよね。
ミルコ そう、すごくいい乗り方。普通の馬は、そういう展開になるとビビってしまって頑張れないんだけど、ネオユニヴァースはめっちゃ勝負根性があったから、最後に頭だけ勝つことができた。
普通はなかなか勝てない展開だったから、僕もすごくうれしくて興奮してしまったのはあるけど、勝春さんも本当にいい競馬をしてた。だから、(頭を叩いてしまったのは)「ナイスファイト!」っていうつもりだったんだけどね(笑)。
(次回へつづく)