ドナウブルー、ジェンティルドンナの全妹ダブルアンコール
●アドマイヤパンドラ(牝 栗東・須貝尚介 父ディープインパクト、母ザズー)
アルーシャ(18年クイーンC-GIII・3着、19年京都牝馬S-GIII・4着)の全妹。母ザズーは現役時代、アメリカでレディーズシークレットS(G1・ダ8.5f)、ラスヴァージネスS(G1・ダ8f)など3つの重賞を勝った。母の父TapitはA.P. Indy系のトップサイアーで、3年連続で米リーディングサイアーとなった。
「ディープ×Tapit」は現時点で8頭中6頭が勝ち上がり、桜花賞(GI)を勝ったグランアレグリアが出ている。これからまだまだ大物が出てきそうな配合だ。母方にPulpitとHis Majestyを併せ持つディープ産駒でもあるので皐月賞馬アルアインと配合のアウトラインが似ている。芝向きの中距離タイプ。
●ダブルアンコール(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ドナブリーニ)
6頭の全きょうだいのうち5頭が勝ち上がっている。ただ、ドナウブルー(12年京都牝馬S-GIII、12年関屋記念-GIII)とジェンティルドンナ(12、13年ジャパンC-GI、14年ドバイシーマクラシック-G1、14年有馬記念-GI、牝馬三冠)のあとは、重賞級の大物は出ていない。
2017年のセレクトセール当歳で3億7000万円(税抜)で落札された高馬。母はDanzigを経たNorthern Dancer 3×4という好パターン。Alydar、My Bupersを併せ持つのでミッキーアイルに似ており、「Danzig×Alydar」の母の父Bertoliniはサトノダイヤモンドが持つLureと同じ組み合わせ。重賞級の活躍を期待したい。
●ネヴァタップアウト(牡 美浦・鈴木伸尋 父エスポワールシチー、母パイクーニャン)
2代母パイアンは500万条件から3連勝して臨んだセントウルS(GIII)で2着(カルストンライトオ、テンシノキセキなどに先着)となった快速馬。母パイクーニャンは芝1400mで1勝を挙げ、繁殖牝馬として成功。ヨウメイモン(12年兵庫ジュニアグランプリ-Jpn2・5着/父ファスリエフ)、デアフルーグ(OP/父ベーカバド)、ショーム(OP/父エスポワールシチー)、パイメイメイ(1600万下(現3勝クラス)/父ファルブラヴ)、パイルーチェ(3勝クラス/父ナカヤマフェスタ)などを産んでいる。
本馬はショームの全弟。「エスポワールシチー×フレンチデピュティ」というパワー型の配合で、母はコンスタントに活躍馬を出しているだけに、兄同様の活躍が期待できる。ダ1600〜1800mがベスト。
●ヒメノカリス(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ドバイマジェスティ)
皐月賞(GI)と大阪杯(GI)を勝ったアルアイン、現5戦3勝のダノンマジェスティの全妹。母ドバイマジェスティはブリーダーズCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7f)を制し、アメリカのチャンピオンスプリンター牝馬に選出された。母の父Essence of DubaiはA.P. Indy系で、スーパーダービー(米G2・ダ9f)、ノーフォークS(米G2・ダ8f)、UAEダービー(首G2・ダ2000m)の勝ち馬。
種牡馬としてはあまり成功したとはいえず、ドバイマジェスティの他にこれといった大物は出ていない。レースレコードを更新して皐月賞馬となった全兄アルアインがそうであるように、スピードの持続力が持ち味だろう。マイルから2000mがベスト。
●ロンズデールベルト(牡 栗東・中内田充正 父ロードカナロア、母ダイワエルシエーロ)
カーサデルシエロ(現1勝)、ハルワタート(現1勝)の全弟。母ダイワエルシエーロはオークス(GI)など4つの重賞を制した名牝。下河辺牧場のオールフォーロンドン牝系は、ここ最近、キセキ(17年菊花賞-GI)やグレーターロンドン(18年中京記念-GIII)の活躍でにわかに活況を帯びてきた。
父がキングカメハメハの息子、母の父がサンデー系、2代母がロンドンブリッジ(97年ファンタジーS-GIII、98年桜花賞-GI・2着)、という本馬の配合はキセキと同じ。キセキの父はスタミナ色の強いルーラーシップで、本馬の父はスピード色の強いロードカナロアなので、配合構成は似ていても産駒のタイプはかなり異なる。全きょうだい2頭は牝馬だったが本馬は牡馬に出たのでひと味違う産駒を期待したい。芝向きのマイラーだろう。