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【オールカマー】ノーザンテーストの勝負強くタフな血は、この秋さらなる成長を見せるか

  • 2019年09月21日(土) 18時00分
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優秀な産駒は2度も3度も変わると称された血脈


 重賞3連勝中の5歳ウインブライト(父ステイゴールド)は、すでに重賞6勝のトップホース。ただ、ここまでの重賞6勝はすべて1番人気ではない。ハデなタイプではないので脚光を浴びることは少ないが、どんどん強くなっている。でないと、GIクイーンエリザベスII世C(香港)をレコードで快勝はできない。

 勝負強さ(重賞6勝は全部0秒1差未満)、2歳時より約50kgは身体が大きくなったタフな成長力は、父ステイゴールド譲りではあるが、当然、それだけではなく母方の血統背景も大きく影響する。

 競走馬としてニュージーランドから輸入された5代母ミスブゼン(1952生まれ。父Summertime)は、小倉記念など56戦17勝(障害5勝)のタフな牝馬だった。丈夫なファミリーとして発展する。同じころ、ニュージーランド産の種牡馬サムタイム(父Summertime)が輸入されている。この種牡馬のファミリーは、今秋、その半妹(父ディープインパクト)が生まれた世界の女傑Winx.ウインクスと同じ一族になる。

 ウインブライトの母の父アドマイヤコジーンは、2歳時(98年)に当時の朝日杯3歳S制覇のあと、約1年半も骨折で休養している。尾を引いた長いスランプを克服すると、6歳時(02年)にGI安田記念など3重賞を制してみせた。産駒のスノードラゴン(14年のスプリンターズS勝ち馬)は、今春11歳まで現役だった。

 種牡馬アドマイヤコジーンの母の父は、大きな時代を築いたノーザンテースト。優秀な産駒は「2度も3度も変わる」と称されたノーザンテーストの勝負強くタフな血は、ノーザンダンサー系らしく代を経ても影響力を失わない。

 父ステイゴールドの祖母の父もノーザンテースト。そこで、ウインブライトはノーザンテーストの「4×4」になる。現代の馬にあふれるノーザンダンサーのクロスではなく、より日本の競馬に合っていたノーザンテーストというところがポイント。

 有馬記念などGI3勝のドリームジャーニー(父ステイゴールド)、最後の有馬記念がもっとも強かったGI6勝のオルフェーヴル全兄弟は、ノーザンテーストの「4×3」だった。ステイゴールド産駒では、最後のレースとなった昨春の天皇賞でGI馬を制したレインボーラインの場合は「4×5」になり、16年のダイヤモンドS3400mを快勝したトゥインクルはノーザンテーストの「4×2」。今回対戦する、なぜこんなにタフで丈夫なのだろうとされる8歳ショウナンバッハも、その源はノーザンテーストの「4×4」かもしれない。

 ウインブライトはこの秋、限界をみせる危険より、もっと強くなる楽しみを与えてくれるトップホースになる可能性がある。58kgは中山金杯で克服している。渋馬場も他馬より苦にするということはないだろう。雨馬場になっての相手妙味は、同じステイゴールド産駒のスティッフェリオ、クレッシェンドラヴか。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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