猛獣のようだったポルックスが変貌したきっかけは?(C)netkeiba.com
競走馬の可能性を広げるのも閉ざすのも人間次第
競走馬時代、猛獣のような馬だったというトモジャポルックスが、なぜ現役引退からわずかな期間で穏やかな馬に変貌したのか。去勢したからといってここまで変わるものなのか。鈴木伸尋調教師に疑問をぶつけてみた。
「去勢をしても効果はすぐには出てこないですからね。それだけトレセンの中やレースがどれだけ馬にストレスを与えているかということだと思います。そこから解放されたというのがとても大きかったのだと思いますね」(鈴木師)
鈴木(伸)厩舎でトモジャポルックスを担当していた持ち乗りの河合純之介調教助手は、競走馬時代のポルックスについてこう話す。
「若馬特有のヤンチャさと馬っけがありました。悪さをするというよりは元気で子供っぽかったと思います。噛むというのも普段はじゃれてきているような感じでしたが、競馬が近くなって調教がきつくなってきて、飼い葉もたくさん食べてピリピリしてくると、自分のテリトリーに入ってくる人にはガーッといくところがありましたね」
ポルックスを担当していた河合純之介調教助手(C)netkeiba.com
レースはほとんどの馬にとって、つらく苦しいものだ。そしてトレセンはその苦しいレースに向けて調教をする場所。トレセンでの調教が強くなってくれば馬は競馬が近いと気づき、エネルギーの高い餌を食べると力が有り余ってくる。結果、ポルックスのように人に向けて攻撃的になる馬もいるのだ。
ストレスのかかる環境から解放されたとわかったのか、ポルックスは今、本当に人懐っこく穏やかだ。
「阿見乗馬クラブはのんびりしていますし、ここにいる馬たちみんながボーッとしていますからね。だからこの静かな環境と、レースやトレセンのストレスから解放されたということが、1番大きいと思いますね」(鈴木師)
■鈴木師にじゃれるポルックス
競走馬時代の気性だけで判断していたら、ポルックスは今、