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引退馬問題に情熱を注ぐ鈴木伸尋調教師(3)「馬に携わるすべての人に、馬の適性を見極める目と技術を」

  • 2019年09月24日(火) 18時00分
第二のストーリー

猛獣のようだったポルックスが変貌したきっかけは?(C)netkeiba.com


競走馬の可能性を広げるのも閉ざすのも人間次第


 競走馬時代、猛獣のような馬だったというトモジャポルックスが、なぜ現役引退からわずかな期間で穏やかな馬に変貌したのか。去勢したからといってここまで変わるものなのか。鈴木伸尋調教師に疑問をぶつけてみた。

「去勢をしても効果はすぐには出てこないですからね。それだけトレセンの中やレースがどれだけ馬にストレスを与えているかということだと思います。そこから解放されたというのがとても大きかったのだと思いますね」(鈴木師)

 鈴木(伸)厩舎でトモジャポルックスを担当していた持ち乗りの河合純之介調教助手は、競走馬時代のポルックスについてこう話す。

「若馬特有のヤンチャさと馬っけがありました。悪さをするというよりは元気で子供っぽかったと思います。噛むというのも普段はじゃれてきているような感じでしたが、競馬が近くなって調教がきつくなってきて、飼い葉もたくさん食べてピリピリしてくると、自分のテリトリーに入ってくる人にはガーッといくところがありましたね」

第二のストーリー

ポルックスを担当していた河合純之介調教助手(C)netkeiba.com


 レースはほとんどの馬にとって、つらく苦しいものだ。そしてトレセンはその苦しいレースに向けて調教をする場所。トレセンでの調教が強くなってくれば馬は競馬が近いと気づき、エネルギーの高い餌を食べると力が有り余ってくる。結果、ポルックスのように人に向けて攻撃的になる馬もいるのだ。

 ストレスのかかる環境から解放されたとわかったのか、ポルックスは今、本当に人懐っこく穏やかだ。

「阿見乗馬クラブはのんびりしていますし、ここにいる馬たちみんながボーッとしていますからね。だからこの静かな環境と、レースやトレセンのストレスから解放されたということが、1番大きいと思いますね」(鈴木師)

■鈴木師にじゃれるポルックス

 競走馬時代の気性だけで判断していたら、ポルックスは今、

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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