今年の「ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)」で、1位の川田将雅騎手、2位のC.ルメール騎手に続き、堂々3位タイとなったミカエル・ミシェル騎手。初来日での活躍ぶりに、日本のファンも歓喜しました。
フランスに戻ったミシェル騎手から日本のファンへ、動画メッセージが届きました。さらに、本文ではノーカット版のインタビューをお届けします。併せてお楽しみください!
(取材・訳・写真=高橋正和)
「I am Mickaelle Michel, French jockey.」
――いつから騎手になりたいと思いましたか?
ミシェル 馬に乗り始めたのは10歳の頃です。家族は馬関係ではありませんでした。14歳の時に両親に連れられて初めて競馬場に行って、レースを見た時に「騎手になりたい」と思いました。“馬”と“競走”というものに情熱を感じたからです。
それから競馬学校に入学して見習いを3年間、19歳(2014年)でプロデビューしました。
――昨年は“72勝”を挙げて、フランス女性騎手の勝利数レコードを更新。この活躍をどう感じていますか?
ミシェル とても素晴らしいことでした。たくさんの仕事をこなし、多くの調教師のサポートをいただいたおかげです。
▲フランスで騎乗するミシェル騎手
▲レースでは迫力ある姿を披露
――そして、今年のWASJ(札幌)での大活躍! ミシェル騎手にとってどういう体験でしたか?
ミシェル 日本で活躍できて、私はものすごく感激しました。本当にこれまでと違うものでした。沢山のファンの皆様の応援がありました。あなた方と馬の関係者の皆様が、とても素晴らしかったです。
――“日本に恋をしました”と言って下さいました。どういうところが好きですか?
ミシェル はい、私は日本に恋をしました。街は美しく、食事は美味しく、人々がとても素敵です。レースは本当に素晴らしかったです。JRAも組織として完璧でした。
――日本の競馬に乗ってみてご自分に合うところ、逆に難しいところがあったら教えて下さい。
ミシェル 競馬はとてもクリアでスピードが速いです。私には快適でした。馬たちはとてもパワフル! 体力的な準備が欠かせないと思いました。
――少し話がそれますが、日本の食べ物を気に入ってくださったそうですね。
ミシェル 日本の食べ物は、東京で食べたラーメンと餃子が本当に美味しかったです。今すぐにでも日本に食べに行きたいです(笑)。あと、コーンスープが信じられないほど美味しかったです。
▲「東京で食べたラーメンと餃子が本当に美味しかった」
――さて、今後日本での短期免許は考えていますか? また、他の国で騎乗することにも興味はありますか?
ミシェル 今後、JRAかNARの短期免許が取れたらいいなと思っています。ほかにも香港、アメリカ、オーストラリア、カナダ、シンガポールでの騎乗に興味があります。
JRAの短期免許がリーディングTOP5ということは知っています。ハードルは高いですが、私は諦めません。NARの短期免許の条件は通算200勝ですし、(船橋に所属したことのある)クリスチャン・デムーロ騎手にも話を聞いています。
どうしてもまた日本で競馬をしたい。札幌のような特別な機会があり、それに呼んでいただけるなら、JRAでもNARでも是非行きたいと思っています。
――日本で奮闘する藤田菜七子騎手の印象はいかがですか?
ミシェル 日本で菜七子騎手に会えてとても嬉しかったです。ガールズパワーですね! 彼女はとても上手に乗ります。才能があります。私は彼女とまた一緒に競馬がしたいです。
――女性の“強さ”は、ジョッキーにとってプラスですか?
ミシェル はい、間違いなく。私は強いです。そのため一生懸命に仕事をします。ハードなトレーニングをしていますし、マインドも強いです。(将来的には)強さと柔らかさを兼ね備えたいです。日本に戻り、その探求を続けたいです。
――これまで2回、落馬による大きな怪我を体験しています(今年の5月末に落馬し1か月以上の休養)。それをどう乗り越えましたか?
ミシェル 今は全く問題ありません。大怪我の後は諦めない気持ちと、ただ一生懸命に仕事をするだけだと思います。
――最後に日本のファンの皆様にメッセージをお願いします。
ミシェル 私を歓迎して下さってありがとう。愛しています。そして、すぐに日本に戻ることをお約束します!
▲「すぐに日本に戻ることをお約束します!」
プロフィール
ミカエル・ミシェル Mickaelle Michel
1995年7月15日 フランス生まれ
10歳で乗馬を始め、2011年にマルセイユの競馬学校に入学。2014年3月15日にデビューし、同年9月に初勝利。その後、落馬による負傷で1年半の休養を余儀なくされるなどしたが、2017年3月に女性騎手への2kgの減量(重賞、リステッドを除く。18年3月からは1.5kgに変更)が与えられたことも追い風にして、203戦17勝でリーディング78位に入った。
2018年は女性騎手として初めて1日で3勝するなどして、フランスを代表するC.スミヨン、P.ブドー、M.ギュイヨンといった強豪を抑えて女性騎手・見習騎手として初めての開催リーディングに輝いた。その後も躍進を続け、女性騎手としては初めてフランス年間リーディングで83日にわたってトップを維持した。10月にはフランスにおける女性騎手の年間勝利数記録を更新する60勝目を挙げると、最終的には72勝まで記録を伸ばし、10位から2勝差のリーディング12位という結果を残した。
2018シーズン (フランス) 804戦72勝 (勝利数12位)
2019シーズン (フランス) 184戦13勝 (勝利数64位)
(JRA発表資料より抜粋)