●オメガレイスター(牝 美浦・上原博之 父ワールドエース、母オブザーヴァント)
高松宮記念(GI)を勝ったセイウンコウセイ(父アドマイヤムーン)の半妹。2代母パテントリークリアは、タイキフォーチュン(96年NHKマイルC-GI)、タイキダイヤ(99年クリスタルC-GIII)、タイキリオン(02年ニュージーランドT-GII)と3頭の重賞ウィナーを送り出し、孫世代からもGI馬を出したように活力がある。
母オブザーヴァントはアイルランドで6戦未勝利という成績だが、良血だけに繁殖牝馬として成功した。父ワールドエースはディープインパクト産駒で、現役時代にマイラーズC(GII)ときさらぎ賞(GIII)を勝ち、皐月賞(GI)で2着と健闘した。現2歳の初年度産駒はオータムレッド(19年クローバー賞-2歳OP)をはじめ5頭が勝ち上がり、9頭が連対を果たしている。繁殖牝馬の質を考えれば大健闘といえる。
ドイツ血統が主体なので母オブザーヴァントのアメリカ血統はスピードと新たな活力の導入という意味で好ましい。芝向きのマイラー。
●タイセイシリウス(牡 栗東・高野友和 父エピファネイア、母スマッシュハート)
母スマッシュハートは未勝利馬だが、2代母ビーナスライン(06年函館スプリントS-GIII)、3代母ホクトペンダント(96年報知杯4歳牝馬特別-GII・2着)、4代母ホクトビーナス(89年桜花賞-GI・2着)と活躍馬が連なるファミリーに属している。
父エピファネイアは現2歳が初年度産駒で、JRA2歳種牡馬ランキングでキズナ、ディープインパクト、ダイワメジャーに次ぐ第4位。新種牡馬ではキズナに次ぐ第2位。上々の滑り出しだ。
「エピファネイア×キングカメハメハ」は出走5頭中2頭が勝ち上がっており、2着馬や3着馬もいるので悪くない。本馬はサンデーサイレンス4×4に加えてマルゼンスキー5×5も併せ持つ。芝向きの中距離タイプ。
●サンライズプラウ(牡 栗東・浜田多実雄 父ヨハネスブルグ、母レインボーローズ)
母レインボーローズは現役時代に2勝クラスまで出世した。2代母チーターは芝・ダートを問わず短距離でタフに走り3勝を挙げ、繁殖牝馬としてもコンスタントに勝ち馬を出した。チーターの孫にマイネルクロップ(15年マーチS-GIII、佐賀記念-Jpn3)、スザク(13年全日本2歳優駿-Jpn1・2着)などがいる。
父ヨハネスブルグは名種牡馬Scat Daddyの父として知られ、日本ではネロ(16、17年京阪杯-GIII)、ホウライアキコ(13年デイリー杯2歳S-GII、13年小倉2歳S-GIII)、フクノドリーム(13年エーデルワイス賞-Jpn3)、タガノブルグ(14年NHKマイルC-GI・2着)などを出している。
母が「サンデー系×Seeking the Gold(≒Woodman)」という配合なのでホウライアキコ、タガノブルグとよく似ている。芝・ダート兼用のスプリンター〜マイラー。
●ホワイトロッジ(牝 栗東・藤岡健一 父ディープインパクト、母サマリーズ)
母サマリーズは全日本2歳優駿(GI)、クラスターC(GIII)の勝ち馬。2代母ミスアドーラブルはMr.Prospectorのラストクロップで、旺盛な競走意欲と先行脚質を伝えるSeattle SlewとMr.Prospectorの組み合わせのほか、Raise a Native 2×4というスピード型のクロスを持っている。
母の父ハードスパンはブルードメアサイアーとして非凡な成績を挙げており、重賞を3勝したダノンスマッシュを筆頭に、デルタバローズ(18年ニュージーランドT-GII・3着)、ペルペトゥオ(3勝クラス)、ハニージェイド(3勝クラス)とコンスタントに活躍馬を出している。
本馬は「ディープインパクト×ハードスパン」という組み合わせ。ダート重賞で活躍した母を持つものの、芝で走っても不思議ない配合構成。芝・ダート兼用のマイラー。
●ルーツドール(牝 栗東・藤岡健一 父ジャスタウェイ、母リュヌドール)
4分の3姉に紫苑S(GIII)6着馬ルヴォワール(父ハーツクライ)、半兄に天皇賞・春(GI)と菊花賞(GI)を制したフィエールマン(父ディープインパクト)がいる。母リュヌドールは伊仏でリディアテシオ賞(伊G1・芝2000m)を含めて3つの重賞を勝ち、04年のジャパンC(G1)にも出走し7着。同じ3歳馬だったハーツクライに先着を果たしている。
母の父Green Tuneは仏2000ギニー(G1・芝1600m)とイスパーン賞(仏G1・芝1850m)の勝ち馬で、Nijinsky+Ocean's Answer(≒Storm Bird)+Mr.Prospectorという配合構成はマジックストーム(ラキシスとサトノアラジンの母)と酷似している。
これまでの繁殖成績は、デビューを果たした3頭がすべて勝ち上がり、前述のとおりフィエールマンとルヴォワールが出ている。体質の弱さが垣間見える血統ではあるが、それが無ければ芝中距離で重賞級の活躍が期待できる。