いよいよ今週日曜日に迫った凱旋門賞。日本馬3頭&武豊騎手が世界最高峰の舞台に挑みます。
迎え撃つは女王エネイブル(牝5、英・J.ゴスデン厩舎)。史上初の凱旋門賞3連覇がかかっています。
これがラストランとも言われている最強牝馬のこれまでの軌跡をたどります。
Part2では、5歳を迎え完成された女王の2019年の走り(エクリプスS、KGVII&QES、ヨークシャーオークス)をレース映像、L.デットーリ騎手、J.ゴスデン調教師のコメントとともに振り返ります。
(文=Netkeiba海外競馬担当スタッフ)
凱旋門賞の出馬表はこちら! ※これらのレース映像について、netkeibaでは一切のご質問にお応えいたしかねますのでご了承ください。
エクリプスS(G1)
〜Her new season began〜
(7/6・サンダウン芝1990m・8頭)
■レース分析 ダッシュよくハンティングホーン(2番)が先手を奪い、直後に同厩舎のマジカル(7番)。
大外枠からの発走となったエネイブル(6番)がマジカルに並ぶ位置から2番手を奪い、マジカルは控えて3番手。
ハンティングホーンが淀みないペースで引っぱり直線に向くが、エネイブルが抜群の手応えで並びかけ、追撃を振り切って押し切った。
エネイブルの背後でマークしたマジカルも懸命に追うが、並びかけることは出来ず2着。
8ヵ月ぶりの復帰戦で見事な勝利を収めた。
J.ゴスデン調教師「長い準備期間だった。彼女の気持ちが入ったのはほんの2週間前で、率直に言って85ないし90パーセントくらいのデキだった」
KGVI&QES(G1)
〜The histric match racing〜
(7/27・アスコット芝2390m・11頭)
■レース分析 昨夜からの雨で馬場が渋り、稍重のコンディション。3歳馬ノルウェー(11番)が果敢に先手を主張。2F目と3F目に11秒台の速いラップを刻む。
内からマジックワンド(9番)、外からハンティングホーン(4番)が続き、A.オブライエン厩舎の3頭がレースを支配。
中団にクリスタルオーシャン(2番)が構え、それをマークする形で進めるエネイブル(8番)。エクリプスS同様、大外枠からの発走となり、いつもより後ろの位置からレースを進めた。日本馬シュヴァルグラン(1番)は有力各馬を見ながら後方3番手。
急勾配の上り坂で1Fが13秒台に緩むと一気にクリスタルオーシャンが進出。その外からエネイブルもギアを上げ、直線は2頭の一騎打ち。
約400mに及ぶ激しいデッドヒートの末、エネイブルが先着。連勝を11に伸ばした。
クリスタルオーシャンはクビ差の2着。ヴァルトガイストも食い下がるが1.3/4馬身差の3着。
人気馬2頭のマッチレースに人々は酔いしれた。
L.デットーリ騎手「国中のプレッシャーを背負っていた。彼女は2年間負けていないのだからね。くたくただし、あのようなレースはたくさんだよ。自分のキャリアの中でも一番厳しい叩き合いではないかな」
ヨークシャーオークス(G1)
〜Overwhelming speed〜
(8/22・ヨーク芝2400m・4頭)
■レース分析 エネイブル擁するゴスデン厩舎とマジカル擁するオブライエン厩舎の一騎打ちという構図。
好スタートを決めた断然人気のエネイブルがまさかの逃げる形となり、その後ろに僚馬ラーティダー。3番手にマジカルで、最後方はその僚馬サウスシーパールという態勢。
各馬一列になってレースは展開され、終始エネイブルは手応えよく直線へ向く。マジカルはエネイブルの内を突き、早目のスパートから少しずつ差を縮める。
直線に向いても手応え抜群のエネイブルは追い出しを待つ余裕を見せ、マジカルが並びかけてきたところでスパート。完全に2頭のマッチレースとなったが、エネイブルは持ち前の勝負根性で一気に突き放す。
最後は2.3/4馬身差をつけてエネイブルが完勝。これで連勝を12に伸ばし、万全の態勢で凱旋門賞3連覇へ向かう。
J.ゴスデン調教師「今回は凱旋門賞へ向けてのいい足がかりになった」