エルコンドルパサーとナカヤマフェスタを診ていた永田廣獣医(撮影:佐々木祥恵)
数々の日本馬が挑戦し続けるも、未だ頂点に手が届いていない凱旋門賞。この激戦の舞台での日本馬の最高着順は「2着」。今回はかつて凱旋門賞に挑戦し、奇しくも2着に終わったエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタの担当獣医として携わっていた永田廣獣医に当時のお話を伺うことができた。海外への長期滞在、馬場への適性、走り方…。獣医から見た、日本馬の凱旋門賞制覇に必要なこととは。
(取材=佐々木祥恵)
―獣医をされて何年になるのですか?
永田 48年です。22歳の時からやってますからね。今年の12月15日でトレセン内での診療は定年になります。
―その獣医人生の中で、凱旋門賞に3回行かれていますね?
永田 25歳の時に現地で初めて凱旋門賞を観ているんですよね。その時はアメリカからヨーロッパを回って、最後に凱旋門賞を観て帰ってきました。あれは確か1974年で、牝馬のアレフランスが勝った時でしたね。エルコンドルパサーで行ったのは50歳の時でした。
―エルコンドルパサーはフランスに長期滞在していましたが、先生はどのタイミングで渡仏されていたのですか?
永田 エルコンドルは帯同馬と一緒に半年フランスにいましたからね。私はずっと行っていたわけではなくて、追い切りの前と後など、行ったり来たりしていました。日帰りしたこともありましたよ。フランス2戦目サンクルー大賞(GI・1着)で外傷をしていて、向こうの獣医師も診てくれたのですが、渡邉隆オーナーに行ってきてほしいと言われまして、朝4時頃着いて10時くらいの飛行機で帰ってきました。飛行機に乗っている時間も入れて、正味2日くらいですかね。
エルコンドルパサー。NZT4歳Sにて(撮影:下野雄規)
―エルコンドルパサーもナカヤマフェスタもシャンティイのトニー・クラウト厩舎に滞在していましたね?
永田 それはとても良かったと思いますよ。決して大きな厩舎ではなくて小回りがきくんです。そして調教師もエルコンドルやフェスタをまるで自分の厩舎の馬のように扱ってくれました。それ以前にも