2018年天皇賞・秋は軽い馬場コンディションで行われた(撮影:下野雄規)
「ウマい馬券」で4年連続プラス収支(回収率100%超)を叩き出す馬場虎太郎氏が、トラックバイアスをもとに馬場を分析。その結果をベースに週末のレース傾向を展望し、主に日曜メインレースの「注目の1頭」を紹介していく。
近走トラックバイアスで力を出せなかった馬は?
先週の東京芝は金曜から土曜朝にかけての雨量が多く、JRA発表の気象状況を参考にすると、東京競馬場の金曜から土曜にかけての積算降水量は約56mm。ダートは「不良」発表でスタートしたように、非常に雨量が多かった。芝に関しても発表は「重」でスタートしているが、私が「独自」に判定する馬場コンディションでは「標準」と判断していた。
今開催の東京芝は、前開催の中山同様路盤の状態も水捌けも抜群に良い。日曜には「軽め」の馬場コンディションに回復している。
今週も週中の天気予報は悪く降雨が見込まれる。だが、今の路盤状態の場合、当日が豪雨のなかでの開催にならない限り重い馬場コンディションは考えづらい。「軽め」の馬場コンディションで開催されそうだ。
過去4回の天皇賞秋が馬場コンディション「軽い〜稍軽い」で行われたのは2015年と2018年。コース構造は、内枠、内を通るほうが若干有利。だが「軽い馬場」の年に3着内に好走した6頭のうち4頭は6枠より外。枠順によるパフォーマンスへの影響は小さく、能力差を覆すほどの偏りはみられない。
近年の天皇賞秋が軽い馬場コンディションで行われた場合、コース取りや位置取りはそれほど問われず、どの馬も全力を出しやすい馬場状況になっていると考えて良い。
このような馬場状況の場合“今回までのトラックバイアスで力を出せていないのはどの馬か”を重視して予想を組み立てる。能力の低い馬が恵まれづらい馬場なのだから「能力はあるが、能力を出せていない馬」を買うことで高配当ゲットに近づくからだ。
今年の天皇賞秋で「勝ち負けする能力がある」にもかかわらず、近走やこれまでの敗戦時に「トラックバイアスの不利」で力を出せていなかったのは、ダノンプレミアム。
これまで負けている2戦は前走の安田記念と4走前のダービー。前走安田記念はトラックバイアス「内有利・超前有利」。当日は超高速馬場で、内を通る馬が有利。さらにレースも馬場コンディションを考えるとスローペース。後方からは物理的に届かない状況になった。
外枠からのスタート直後に前をカットされる不利はあったが、これがなかったとしても馬場状況を考えると好走するのは厳しかっただろう。最後は騎手も無理をさせておらず、内容を悲観する必要は全くない。
去年のダービーでは最内枠。馬場状況的には内を通るほうが有利だったが「この馬の特徴」から考えると能力を出しきれなかったと考えている。跳びが大きい馬なので、瞬時に反応するのは難しく、直線で前があいたのはゴール直前。馬自身の走るストライドをロスしたことにより、パフォーマンスを落としてしまった。
負けた2回とも「馬場による敗因」がハッキリしている。にもかかわらず、負けたという理由で前走より人気を落とすのは魅力的だ。現役屈指の実力馬が揃うレースだが、素質では引けを取らない。
今回は実績のある距離。内枠に入ったとしても本来スピードのある馬なので、早めにポジションを確保して運べるだろう。仮に外枠だった場合でも、馬のリズムを考えるとむしろ歓迎で、去年は同じ鞍上のキセキが外枠から逃げる形をとった。再現も考えられる。