素顔のクロコスミアと担当の北添裕哉調教助手(撮影:大恵陽子)
2年連続エリザベス女王杯で2着のクロコスミア。直線では一旦先頭に立ち、粘りに粘るも2年ともクビ差だけ差されて涙を飲みました。強い勝負根性を見せる彼女は「普段も女王様!」だといいます。デビュー時は400kgに満たなかった小柄な女の子はここまでの約4年半、どう成長してきたのでしょうか。悲願のエリザベス女王杯制覇を前に、担当の北添裕哉調教助手に伺いました。
(取材・文:大恵陽子)
デビュー前から見せた勝負根性
17頭を引き連れて逃げたクロコスミア。直線に入っても脚色は衰えず、今度こそ勝てるかと思われた瞬間、リスグラシューが強襲してきた。馬体を併せ、二枚腰を見せるも、わずかにクビだけ差されて2年連続2着に敗れた。
それが昨年のエリザベス女王杯。
2018年エリザベス女王杯、今年こそ…と思われた瞬間…(C)netkeiba.com
クロコスミアは一昨年も直線では先頭に立ちながら、ゴール前でモズカッチャンに差されてクビ差2着だった。
「一昨年は府中牝馬Sを勝った時よりもさらに状態が良くなって使うことになりました。人気はなかったですが、内心では『結構やれるんじゃないのかな』と思っていました。
一瞬、勝ったかと思いました。体がずっと成長してきていて、昨年は体が大きくなって1年前よりも強くなっているかな、と挑みましたが…。勝ったと思ったところで差された、というのが何回もありますね。でも、昨年はリスグラシューが迫ってきたらまた盛り返して勝負根性を見せてくれました。普段から勝負根性を感じますが、競馬でも出しますね」
2017年もクビ差2着の惜敗だった(C)netkeiba.com
デビュー前の2歳5月からクロコスミアを担当する北添調教助手はそう話す。
逃げ・先行して粘る勝負根性はすさまじく、その片鱗はデビュー前から見せていたようだ。
「GOサインを出した時の反応や、併せ馬での雰囲気から感じていました」
3歳秋、初めてレースで逃げたローズSでもゴール直前まで粘り通して2着だった。
「あの時は特に事前に逃げる作戦とかは立てていなかったんですが、そうなるかもなと見ていました。岩田(康誠)騎手だったので一発もあるかなと期待を持って、ゲートから帰ってくるバスのテレビで見ていました。普段、あまり声を出す方ではないんですが、ちょっと…ちょっとだけ声が出ました(笑)」
オークス馬シンハライトのハナ差2着だった。
このローズSから逃げ・先行のスタイルに(C)netkeiba.com
デビュー時の馬体重は398kg。