▲(左から)マーフィー騎手、ムーア騎手、デットーリ騎手
オイシン・マーフィー騎手(英)が乗ると…
「馬がしなる!」
まだ24歳で、日本での騎乗歴も浅いマーフィーですが、彼の乗り方を見ていると、さすが世界のトップジョッキーだなぁと思う部分が随所にあります。
まずひとつは、肘の使い方。道中、スピードをコントロールするときでも、決して肘が膝に被らない。つまり、下からではなく、上から圧を掛けてコントロールしているということです。
日本人ジョッキーの多くは、拳を返して下のほうで引っ張るから、馬の首の動きが窮屈になり、どうしてもスピードで損をしてしまう。
その点、肘を下げずに上からコントロールできれば、スピードを殺せずに進めるし、馬も動きやすいんですよね。マーフィーは、24歳にしてそういう乗り方ができている。さすがだなと思います。
コパノキッキング(2019年根岸Sをマーフィー騎手で勝利)でいうと、もちろん菜七子騎手も上手に乗っていますが、スピードを殺さず、なおかつ距離の融通を利かせる乗り方という意味では、彼が一番上手く乗っていたんじゃないかと思います。
▲コパノキッキングで勝利した2019年の根岸S (撮影:下野雄規)
もうひとつ、彼の特徴といえば、直線の追い方です。道中とは違い、今度は下から圧を掛けることで、馬を上手くしならせている。しならせ方の違いはあれど、海外のトップジョッキーが追うと、馬がしなるんですよね。
おそらく、トモではなくて広背筋の後ろのほうに力が伝わっているから、馬自身のバランスが下がり過ぎない。そうすると、馬の首が勝手に伸びて、推進力につながるんです。
一見、進みにくそうに見えるかもしれませんが、物理的に捉えると進みやすい追い方。決して美しいフォームではありませんが、僕は好きですね。
ライアン・ムーア騎手(英)が乗ると…
「馬の筋肉を柔軟に使いながら抑えられる」
決して美しいフォームではない…という意味では、ライアン・ムーアもそうですね。でも、僕は好きです、彼の動かし方。なぜなら、ジョッキーのフォームより、馬がどう動いているかが大事だと思うから。