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310万ドルの超高馬から誕生したイデアル

  • 2019年11月20日(水) 12時00分
●イデアル(牝 栗東・矢作芳人 父ディープインパクト、母プリンセスオブシルマー)

 母プリンセスオブシルマーは米15戦9勝。ケンタッキーオークス(米G1・ダ9f)、CCAオークス(米G1・ダ9f)など4つのG1を制した。14年に米ケンタッキー州キーンランドで行われたファシグティプトンノベンバーセールに出場し、社台ファームに310万ドルで落札された。

 母の父マジェスティックウォリアーはA.P.Indy系で、本馬の他にベストウォーリア(14、15年マイルCS南部杯-G1など重賞5勝)を出しており、現在は浦河のイーストスタッドに繋養されている。

 本馬の全兄ダノンラスターは新馬戦を勝ったあと東京スポーツ杯2歳S(GIII)で5着となった。「A.P.Indy系×Storm Cat系」の繁殖牝馬にディープインパクトなのでハートレー(15年ホープフルS-GII)とアウトラインが似ている。母はDixieland Band 4×3があるので底力十分。芝中距離で期待できる。

●クレイス(牡 栗東・藤岡健一 父ロードカナロア、母クリアンサス)

 2代母フラワーパークは高松宮杯(GI)、スプリンターズS(GI)を制し、JRA賞最優秀短距離馬に選ばれた快速馬。繁殖牝馬としてはヴァンセンヌ(15年東京新聞杯-GIII、15年安田記念-GI・2着)、フィレンツェ(04年毎日杯-GIII・4着)、そして本馬の母クリアンサスを出している。

 フラワーパークがわざわざオーストラリアへ渡り、同国で通算3回リーディングサイアーとなったRedoute's Choiceと交配して誕生した馬で、現役時代にマーガレットS(OP・芝1400m)を勝った。

 繁殖牝馬としてはこれまで2頭の産駒がデビューし、クロランサス(父ディープインパクト)が勝ち上がっている。本馬と同じく母方にデインヒルを持つロードカナロア産駒にはファンタジスト(18年京王杯2歳S-GII、18年小倉2歳S-GIII)がおり、とくに芝1200mの成績が素晴らしい。本馬も短いところで本領を発揮しそうだ。

●サンライズラポール(牡 栗東・平田修 父Constitution、母カラズマッチポイント)

 父Constitutionは米リーディングサイアーTapitの息子で、現役時代にフロリダダービー(米G1)とドンH(米G1)を勝った。初年度産駒となる今年の2歳世代がブレイクし、米ファーストシーズンサイアーランキングでAmerican Pharoahに次ぐ2位となっている。

 Tiz the Law(19年シャンペンS-米G1)、Amalfi Sunrise(19年ソレントS-米G2)、By Your Side(19年サンフォードS-米G3)、Independence Hall(19年ナシュアS-米G3)、Gouverneur Morris(19年ブリーダーズフューチュリティS-米G1・2着)などコンスタントに活躍馬が出ているのは素晴らしい。

 母カラズマッチポイントはダンシングラグズ(16年アルシバイアディーズS-米G1)、Coup de Grace(14年アムステルダムS-米GII、14年ベイショアS-GIII)の半姉にあたる。3代母Jewel Princessは米古馬牝馬チャンピオン。ダート向きの中距離馬だろう。

●ダノンフォルツェ(牡 栗東・中内田充正 父ロードカナロア、母インディアナギャル)

 朝日杯フューチュリティS(GI)を含めて5つの重賞を制したダノンプレミアム(父ディープインパクト)の半弟。母インディアナギャルはアイルランドとUAEで走り、ブルーウィンドS(愛G3・芝10f)、エケストリアンS(愛G3・芝8f)で2着となった。

 母方にデインヒルを持つロードカナロア産駒にはファンタジスト(18年京王杯2歳S-GII、18年小倉2歳S-GIII)がおり、芝1200mの成績が優れている。本馬はダノンプレミアムを半兄に持つロードカナロア産駒なのでスピードタイプとなるのは間違いない。マイル以下の芝で楽しみだ。

●ミッキーラズベリー(牝 栗東・音無秀孝 父キングカメハメハ、母ワイルドラズベリー)

 プロキオンS(GIII)で2着となったミッキーワイルド(父ロードカナロア)の4分の3妹。母ワイルドラズベリーは白百合S(OP)と紅梅S(OP)を勝ち、ローズS(GII)2着、秋華賞(GI)4着などの成績を残した。

 洋芝や荒れた馬場を得意とするファルブラヴ産駒にしては鋭い決め手を持つタイプで、これはPerfect Pigeonの牝系から出た一流馬に共通する特長でもある。Perfect Pigeonの息子ゴールデンフェザントはカミソリのような切れ味でジャパンC(GI)を差し切り、近親のベッラレイア(07年フローラS-GII)も末脚を武器とするタイプだった。

 全兄ビギンは脚部不安のため中央でデビューできず地方に転出となった。Nureyev≒Fairy Kingの影響か「キングカメハメハ×ファルブラヴ」はパワー型に出る傾向が見られる。4分の3兄ミッキーワイルドがダート馬なので、この牝系の切れ味よりもNureyev≒Fairy Kingの影響が上回ればダートで能力を開花させるかもしれない。距離はマイル前後が良さそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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