▲クリソベリルを管理する音無調教師 (撮影:大恵陽子)
無敗の3歳馬クリソベリルがついにGIの舞台で古馬たちとの戦いに挑みます。ここまで重賞3勝を含む5連勝。初めての古馬混合戦となった前走・日本テレビ盃(JpnII、船橋ダート1800m)ではロンドンタウンに4馬身差で勝利しました。未知の力を秘めるクリソベリルについて管理する音無秀孝調教師に伺いました。
(取材・文=大恵陽子)
無傷の5連勝
540kg超の雄大な馬体に大きなトビ。それゆえ小回りコースは向かないのではないかと懸念された5月の兵庫チャンピオンシップ(JpnII、園田ダート1870m)。しかし、それらをあっさりと払拭する走りでクリソベリルは重賞初制覇を遂げた。
「最後はいつもいい脚を使うので、あそこにいれば大丈夫かなと思ってレースを見ていました」
とレース後、音無秀孝調教師は3番手から抜け出して勝利した内容を振り返った。
騎乗したクリストフ・ルメール騎手も「長くいい脚を使う馬」と話した。
▲重賞初制覇となった兵庫チャンピオンシップ (撮影:稲葉訓也)
続くジャパンダートダービー(JpnI、大井ダート2000m)は広い大井コースに替わって3馬身差で快勝。そして初の古馬戦となった日本テレビ盃でも残り200mで先頭を走るロンドンタウンを交わすと4馬身差で完勝したのだった。
「新馬戦、500万下(現1勝クラス)はぶっちぎって勝っていますが、それに比べるとその後はそこまでぶっちぎっているわけじゃないです。相手が強いからで、今回はさらに強いですからね」
と音無師はやや辛口のジャッジを下す。たしかに着差こそ3〜4馬身なものの、余裕の手応えで4コーナーを回って抜け出す姿は力強く、どこまで強くなるのかを想像しただけで楽しみは広がる。
活躍馬揃いの血統
兄姉にはダート重賞6勝のクリソライト(音無厩舎)、芝のGI・宝塚記念を牝馬で勝ったマリアライト(美浦・久保田貴士厩舎)、ダートでデビューし芝に転向2戦目でGII・神戸新聞杯を制覇したリアファル(音無厩舎)らが名を連ねる。
▲全兄クリソライト、2017年ダイオライト記念優勝時 (撮影:高橋正和)
「クリソライトとクリソベリルは全然違いますね。クリソベリルは元から大きくて、トレセンでは550kgくらいありますから。この血統はみんな緩さがありますが、そういう馬なので強調してもしょうがないです。今回、ちょっとだけ大きくなって牧場から帰ってきたように私には見えます」
20日の1週前追い切りはブラックスピネルと坂路で併せて52.2-38.3-25.3-12.8。
「あまりテンに飛ばしたらバタバタになるので、ちょうどいい併せ馬になりました。動きますね。しまいは13秒を切っていますしね。ここまで順調です。あとは来週でちゃんと仕上がるかどうかでしょう」
▲1週前追い切りを終え「ここまで順調です」と音無調教師 (撮影:大恵陽子)
舞台は中京ダート1800m。初めてのコースではあるが、トビの大きなクリソベリルにとって広いコースは歓迎だろう。左回りも前走で経験済みで、距離も「2000mでもいいくらいの馬で問題ありません」という。
唯一、音無師が気にしたのは相手関係。
「やったことがないメンバーばかりなんでね。ずっと3歳馬同士で走ってきて、チャンピオンズCに出走する馬ではロンドンタウンとしか一緒に走ったことがないですから。メンバーが強くなるごとに2着馬との差は縮まっています。ここからがどうなるかでしょうね」
クリソベリルが走るたびに夢を膨らませてきたファンは多いことだろう。ダート王に向けて、12月1日、GIの舞台に立つ。