▲帰国初戦を迎えるキセキ、角居調教師がその変化を語ります (撮影:大恵陽子)
キセキが帰国初戦を迎えます。泥んこになりながら菊花賞馬に輝いたキセキは昨秋以降、自らペースをつくり、後続馬の目標にされながらもパワフルで粘り強い走りを見せてきました。そしてこの秋、凱旋門賞遠征を経験したことは「すごくキセキの身になっている」と角居勝彦調教師は語ります。
ヴィクトワールピサでドバイワールドC、デルタブルースでメルボルンC、シーザリオでアメリカンオークスなど海外で数々のビッグレースを制してきた角居師が感じる海外帰りの馬の特徴とは。
(取材・構成:大恵陽子)
「キセキの方が○○で…」モンドシャルナと立場逆転!?
――12月11日に有馬記念の1週前追い切りがCWコースで行われましたが、いかがでしたか?
角居勝彦調教師(以下、角居師) 落ち着いていましたし、しっかり動いていたと思います。
――いよいよ帰国初戦を迎えるわけですが、フランスでのことをお伺いしたいと思います。凱旋門賞に向けて8月22日から約1カ月半、フランスに滞在しました。到着時の様子はどんな感じでしたか?
角居師 フランスで到着するのを待っていたのですが、特にへばっている感じもなく、「順調に来たんだな」と思いました。
――前哨戦のフォワ賞に向けてはいかがでしたか?
角居師 向こうの馬場に合わせて馬づくりをしたくて、ハードな調教で負荷をかけていました。そういう意味では乗り込み量がたくさんで、落ち着いて見えたっていうのはあるかもしれないです。非常にタフな馬場なので、馬自身の体を軽くしてつくっている先生が多く、早くそういう形にしたいなっていうのがありました。
――拠点を置いたエーグル調教場は栗東トレセンとはまた違った環境かと思いますが、キセキのメンタル面はどうでしたか?
角居師 馬を調教するための施設としてあるので、調教負荷をかけるトレーニング場自体は非常にアップダウンがあったり、ダートも深かったり、芝もデコボコしています。森に囲まれて空気もおいしいく、リラックスする環境なので、精神的に落ち着いている面は多かったように思います。
▲フォワ賞出走時のキセキ (撮影:高橋正和)
――かつて角居厩舎にいたモンドシャルナと併せ馬も行ったんですよね?
角居師 一度、ここから中内田充正厩舎に転厩になりました。この子は競馬場を覚えるのが早くて、ゴール板を覚えるとその手前からやめることを覚えるので、ヨーロッパ、特にフランスのように競馬場がたくさんあるところで場所を変えながらタフな芝で走らせた方が結果は出るんじゃないか、ということを中内田先生と話していました。
そしてオーナーサイドに相談し、フランスに移籍することになりました。こういうことが起こるかもしれないってことも含めてフランスに連れて行ったのもあったので、ちょうど狙い通りの滞在馬になってくれました。