1月15日、姫路競馬場が7年半ぶりに再開します。園田競馬場と交互開催されていた兵庫県姫路市にある競馬場。園田競馬場のナイター設備工事のため2012年8月に開催して以来のレースとなります。久しぶりの開催とあって、姫路初経験の馬も騎手も、そして競馬ファンも多いことでしょう。
そこで今回の「ちょっと馬ニアックな世界」では騎手経験者のベテランたちに“姫路競馬攻略法”を聞いてきました。
コラム「姫路競馬が7年半開催されなかった理由」コラム「園田・姫路競馬のジョッキーたちが語る吉田勝彦アナウンサーの思い出」 最初に姫路競馬場の基本情報を。
1周1200m、直線は230mと園田競馬場よりやや長くなります。園田では4コーナー奥からの1400mレースが1日の大半を占めますが、姫路競馬場では同じ地点からのスタートは1500mとなります。
園田競馬場は3〜4コーナーにスパイラルカーブと言って、カーブの入り口が緩やかな方式を導入しているのに対し、姫路は「カーブがキツい」と言われています。
▲姫路競馬場コース図
これらの基本情報を踏まえて、まずお話を聞いたのは2018年に騎手を引退したばかりの木村健調教師。
▲姫路競馬場の特徴を語ってくれた木村調教師
「姫路競馬の攻略法を教えてください!」という質問に、第一声は「前行きの馬を狙ったらいいですよ!」との答え。
「そのイメージしかないです。前残りが多かったですね。コーナーはちょっとキツいくらいで、園田で乗れていたら余裕です。なんやかんや言っても、園田は狭い競馬場ですから」
ただ、気をつけるべきポイントは「厩舎の場所」。
園田・姫路競馬の厩舎は2カ所に分かれていて、1つは園田競馬場脇の厩舎。もう1つは両競馬場からそれぞれ約1時間の場所にある西脇トレセン。園田の馬は競馬場のコースで調教を行い、レースも同じ場所で行うため、輸送すらありませんでした。対して西脇所属馬は、園田開催でも必ず輸送が発生します。
「園田の馬は毎朝、調教で園田の馬場を使っているので物見をしませんが、姫路に行ったら物見をするでしょうね。やっぱりその点で西脇の馬は強いと思いますよ」と木村調教師。
所属厩舎によって園田か西脇か厩舎の場所が変わります。気になる方は
こちらから(外部サイトへ)調べることができます。
続いては2000勝ジョッキーの平松徳彦調教師。
「直線がちょっと長いから、3コーナーを過ぎてからの仕掛けでも間に合ったよ」と、17mだけではありますが直線が長い姫路競馬場の特徴を挙げました。
▲姫路競馬場の特徴を語る平松調教師
「1コーナーの入りはキツいですが、そこだけ。3〜4コーナーは馬群がバラけますし、そこではコーナーのキツさはそんなに感じません。重賞初制覇は姫路やったんよ。
あんまり人気していなかったけど、4〜5番手につけて、姫路やからゆっくりめに追ったら、手応えがあったから直線できっちり差せました。慌てなくても溜めていたぶんは差し・追い込みでゆっくり仕掛けても間に合います」と木村調教師とは対照的な意見。
▲平松調教師は奥の橙の勝負服、木村健騎手(現・調教師)とは対照的な意見(写真は2014年ゴールデンジョッキーCで誘導馬に騎乗した際のもの)
そして、「直線が長いだけ展開のもつれがあるかな」と、穴馬好走の可能性を示唆しました。
それには木村調教師も同意見で「不思議と姫路は癖馬でも癖を出さないですね」と。
「園田ではササって追われへん馬が、姫路では全然ササらへんくて、力を発揮できるんですよ」
近走、着順が振るわない馬でも、レースぶりをよく調べてみると姫路激走のヒントが隠されているかもしれません。
そして、かつて高知競馬で7度もリーディングに輝き、2004年に兵庫に移籍した北野真弘調教師は「姫路はコーナーがキツいって印象しかないもんね。内を回るのが上手いジョッキーが向きますよね。(田中)学とか(下原)オサムらは上手いから」と実績のある騎手の名を挙げました。
▲2004年から兵庫の騎手・調教師として活躍している北野調教師は「騎手もポイント」とのこと
最後に余談。
「大恵さん、ADONOS7(アドノス・セブン)のサイン会で姫路競馬場に来たことあるんやろ?」と私の過去を暴露したのは田中学騎手。
ADONOS7とは2006年、独身イケメン騎手で結成されたアイドルグループで、逆から読むと「ソノダ」となるのです。リーダーの木村健調教師を筆頭にメンバーは大山真吾騎手、茶畑雄誠元騎手、平原透雄元騎手、松浦聡志調教師、松本幸祐騎手、武藤隆一元騎手の7名。
当時はレース終了後に色々とイベントも行っていました。
「懐かしいなぁ!当時の写真、持ってるで。ホラ!」とリーダーの木村調教師。
ADONOS7にとってもある意味(?)、思い出の地・姫路競馬場。
今年度の開催は1月15日から2月6日までです。
元ベテランジョッキーたちのお話を参考に、レースや馬券を一緒に楽しみましょう。