最優秀2歳牡馬のとある“流れ”
先週発表されたJRA賞。年度代表馬には、大方の予想どおりリスグラシューが選ばれました。
同馬は去年の宝塚記念と有馬記念を制しました。同年の両レース制覇は、1963年リユウフオーレル、65年シンザン、70年スピードシンボリ、89年イナリワン、92年メジロパーマー、99年グラスワンダー、2000年テイエムオペラオー、06年ディープインパクト、09年ドリームジャーニーに次いで10頭目。加えてその年の年度代表馬(JRA賞以前の表彰制度時代を含む)に選出されたのは7頭目になります。
逆に言うと、3頭は選ばれなかったわけですが、ではその3頭とは?
正解はメジロパーマー、グラスワンダーとドリームジャーニー。92年は2冠馬ミホノブルボン、99年は凱旋門賞2着のエルコンドルパサー、09年はヴィクトリアマイル、安田記念、ジャパンCを制したウオッカが年度代表馬でした。99年はグラスワンダーとエルコンドルパサーで意見が分かれ、論争が巻き起こったことを覚えていらっしゃる方も多いはずです。
まぁ去年は、アーモンドアイが安田記念と有馬記念で勝てなかったので、リスグラシューの選出は順当と言っていいでしょうね。
一方、今年の活躍が期待される最優秀2歳牡馬にはコントレイル、同牝馬にはレシステンシアが選ばれました。
朝日杯勝ち馬以外の馬が最優秀2歳(2000年までは3歳)牡馬に選出されたのは、1987年のサッカーボーイ(阪神3歳S優勝)以来33年ぶり。これは、ホープフルSがGIに昇格したからこその出来事だと思います。もしかつてのラジオNIKKEI杯(ラジオたんぱ杯)がGIだったら、違う歴史が刻まれていたかもしれません。
ちなみに、最優秀2歳牡馬の日本ダービー制覇は94年のナリタブライアン、皐月賞優勝は2012年のロゴタイプを最後にそれぞれ途絶えています。コントレイルがこの“流れ”を変えられるかは注目でしょう。
そして、最優秀2歳(00年までは3歳)牝馬。1991年のニシノフラワーから30年連続で、阪神ジュベナイルフィリーズ(旧阪神3歳牝馬S)の勝ち馬が選出されました。
ニシノフラワー以降の最優秀2歳牝馬のうち桜花賞を制したのは、同馬(1992年)と、テイエムオーシャン(2000年)、ブエナビスタ(08年)、アパパネ(09年)の4頭。オークス馬となったのはメジロドーベル(1997年)、トールポピー(2008年)とブエナビスタ、アパパネにソウルスターリング(17年)の5頭しかいません。
06年の最優秀2歳牝馬ウオッカがダービーを制して強烈な印象を残しましたが、同馬も桜花賞は2着。阪神ジュベナイルフィリーズ優勝馬が最優秀2歳牝馬に選ばれることが当たり前となっているのに、その馬が簡単には桜花賞馬になれないというのは、ちょっと意外な感じもするのですが…。
牡馬同様、牝馬のクラシック戦線もまだまだ予断は許せないってことでしょうね。