回収率は望めず、馬券はひと工夫が必要
今年のAJC杯には2018年の有馬記念馬ブラストワンピースが登録している。GI馬がAJC杯出走というとミホシンザンを思い出してしまう世代の筆者だが、果たしてGI馬のAJC杯出走、あるいは別定GII出走というのはどのような結果を残しているのだろうか。
起点を1989年のGI競走とし、まずは牡馬セン馬のGI馬(2歳GIを除く)がAJC杯に出走したケースを見てみよう。
該当例はのべ16例で、結果は[1-1-0-14]。昨年のフィエールマンが2着、1999年のスペシャルウィークが1着しているが、16頭中14頭は馬券に絡んでいない。1番人気が5頭、3番人気が2頭いてこの成績は物足りない。
ただ、なにぶん16頭のみの話なので、もっと参照できるデータを増やしたい。そこでAJC杯だけでなく、「芝の古馬別定GII全体」に対象を広げてみる(定量GIIは含まない)。
総合成績は[143-71-58-293]で勝率25.3%・複勝率48.1%。回収率は単67%・複82%。当然ではあるが、年齢別では条件を満たして4歳時に出走したケースが最も良く、5歳、6歳、7歳……と下がっていく。ブラストワンピースの5歳1月は十分買える範囲だ。
対象となった別定GIIの距離帯別では、
となっていて、距離が長いGIIにおいてほど成績が良い。では、「5歳で2200~2400m」ではどうだろうか。
答えは[8-5-4-18]で勝率22.9%・複勝率48.6%。悪くはないが回収率は単63%・複89%で伸び切れていない。やはりGI馬のネームバリューで人気になってしまうぶんか。
AJC杯そのものにおけるGI馬の成績不振がある一方、別定GII全体でも回収率までは望めないとなると、少なくとも本命にはしないとか、配当妙味のありそうな馬と軸2頭にするとか、そういった工夫は必要になりそうだ。