関東復権の礎を築く!新設・南馬場Dウッドチップコース(辻三蔵)
今年の重賞でも好成績を挙げている注目の調教コース
昨年9月3日に新設された美浦・南馬場Dウッドチップコース。1周距離2000m、大外を回った場合2176m。これは東京競馬場芝コース(Aコース使用時)2083mとほぼ同じ。
幅員20〜30mと広大化し、直線が平坦になった。関東主場開催にあわせて、右・左回りを使い分けるので、実戦を意識したマラソントレーニングが行える。
旧・Bウッドチップコース(1周距離1600m)より一回り大きくなったが、直線の上り坂はなくなった。平坦になった分、負荷調節がポイント。
個人的には栗東Cウッドチップコース(1周距離1800m)のように6ハロン追いが増えると予想したが、美浦では5ハロン追いが基本。
これには理由があり、競馬専門紙の調教時計は[15-15](1ハロンを15秒台で走ること)を計測してから記載が始まる。ちなみに1ハロンを15秒台で走るのは、心肺機能を鍛える基本速度。栗東では6ハロンから調教時計を計測するのが通例で、1ハロン16-17秒台でも記載される。
南馬場Dウッドチップコースは向正面の入場口からスタートし、6ハロン標識を通過する。調教時計の記載は5ハロンだが、実際は6ハロンから追い切りを行っている。1周回ると2000m以上走るので、時計以上に運動量が増えている。
2019年9月7日以降、JRA平地重賞競走の直前追い切り成績で、南馬場Dウッドチップコース調教馬は[11-10-5-130](勝率7%、複勝率17%)。栗東坂路調教馬の[23-28-23-242](勝率7%、複勝率23%)。
栗東Cウッドチップコース調教馬の[11-8-16-112](勝率8%、複勝率24%)、 南馬場Dウッドチップコース調教馬の勝率7%は、栗東主要コースとほとんど変わらない(データは2020年1月20日現在)。
今年のJRA3歳重賞では、南馬場Dウッドチップコース調教馬が[2-2-0-9](勝率15%、複勝率31%)と好成績を収めている。
サンクテュエール(藤沢和厩舎)がシンザン記念を勝ち、スマイルカナ(高橋祥厩舎)、チェーンオブラブ(小笠厩舎)はフェアリーSを1、2着上位独占。先週の京成杯でもスカイグルーヴ(木村厩舎)が2着している。
南馬場Dウッドチップコースの好走時計は[4ハロン52-53秒台、3ハロン37-38秒台、1ハロン12秒前半]。
直線では外目を回り、走行距離を延ばす。平坦コースで加速が増すので「馬なり」で走り抜く素軽さが必要だ。
昨年の朝日杯フューチュリティSを制したサリオス(堀厩舎)は、新設Dウッドチップコースの申し子。南馬場Dウッドチップコースで直前追い切りを行い、重賞2連勝。2月16日(日)共同通信杯(GIII、東京芝1800m)で復帰予定だ。
東京競馬場芝コースと同じスケールを誇る南馬場Dウッドチップコースは日本ダービー、オークスの予行演習には最適。関東復権の礎を築く最高の調教コースだ。