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ダート中距離で本領発揮、オルフェーヴル産駒スターリーゴールド

  • 2020年01月29日(水) 12時00分
●エイシンバビロン(牝 美浦・田中剛 父ネオユニヴァース、母エーシングリフォン)

 母エーシングリフォンはJRAで3戦未勝利のあと地方競馬へ転出した。2代母Wind Flowはアメリカでステークスを3勝し、ダート6ハロンで1分8秒32という好時計をマークした。

 母の父Street CryはドバイワールドC(首G1・ダ2000m)の勝ち馬で、アメリカの女傑Zenyatta(通算20戦19勝、米年度代表馬)、オーストラリアの女傑Winx(通算獲得賞金世界一、33連勝、G1を25連勝)の父。

 Street Cryの全姉は名種牡馬Shamardalの全姉でもある。本馬は「ネオユニヴァース×Street Cry」という組み合わせ。父、母の父は、いずれもBoulevardという牝馬の曾孫にあたるので、本馬はBoulevard 4×5という牝馬クロスを持っている。

 父ネオユニヴァースの代表産駒ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースは、いずれも母方にMachiavellianを持っている。本馬はこのパターン(Street Cryの父はMachiavellian)。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●スターリーゴールド(牡 美浦・黒岩陽一 父オルフェーヴル、母オールピュール)

 母オールピュールは芝中距離で安定した成績を残し、最終的には3勝クラスまで出世した。その父Touch GoldはDeputy Minister産駒なので基本的にはパワータイプだが、日本で走った産駒を見ると芝適性のあるものが少なくなく、オールピュールもその1頭だった。

 父オルフェーヴルはエポカドーロ(18年皐月賞-GI)、ラッキーライラック(17年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI、19年エリザベス女王杯-GI)など4頭の重賞勝ち馬を出しており、獲得した7つの重賞はすべて芝でのものだが、全成績を連対率ベースで見ると芝16.9%、ダート20.4%と、ダートのほうが優れている。

 母方にDeputy Ministerを持つオルフェーヴル産駒は芝12.6%、ダート22.2%と、さらにダート向きに傾く。母が芝で走ったとはいえ、本馬はダートのほうが良さそうな印象だ。距離は1600m以上がいいだろう。

●タイセイプラチナム(牡 栗東・矢作芳人 父オルフェーヴル、母ホワイトヴェール)

 チェスナットコート(18年日経賞-GII・2着/父ハーツクライ)の半弟。母ホワイトヴェールはダッシャーゴーゴー(10年セントウルS-GIIなど重賞3勝)の半姉にあたり、近親には多くの活躍馬が並んでいる。

 本馬が属するネガノの牝系は、芝18勝、ダート39勝という成績で、基本的にはパワーを帯びたスピードを武器とする。本馬の父オルフェーヴルは連対率ベースで見るとダートのほうが上で、なおかつ本馬は母方にダート向きのDeputy Ministerを持っている。

 したがって、チェスナットコートの半弟であっても、ダートのほうが力を出しやすいタイプではないかと思われる。距離は1600〜1800mが良さそうだ。

●プライムエルフ(牝 栗東・庄野靖志 父ワールドエース、母ブライトエルフ)

 母ブライトエルフは現役時代にダートで2勝クラスまで出世した。2代母スウィートエルフはセントウルS(GIII・芝1200m)で6着という成績がある。3代母ダンシングエルフ以来、4代連続でヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの募集馬となっており、同クラブの会員にとってはおなじみのファミリーだ。

 母はその父ブライアンズタイムの影響でダート向きに出たが、本馬の父ワールドエース(父ディープインパクト)はマイラーズC(GII)ときさらぎ賞(GIII)を勝ち、皐月賞(GI)で2着となった芝馬で、産駒成績もオータムレッド(19年アルテミスS-GIII・5着)を出すなど芝向き。

 それに加えて本馬はAlzao≒ダンシングブレーヴ4×4のニックスを持つので、芝向きに軌道修正してきそうだ。芝向きのマイラー。

●リアトリス(牝 美浦・高木登 父スマートファルコン、母フサイチジェット)

 ビスカリア(19年TCK女王盃-Jpn3/父ヴァーミリアン)、シンキングマシーン(OP/父フサイチコンコルド)、ホウオウジャッジ(現2勝/父マンハッタンカフェ)の半妹。

 母フサイチジェットは未勝利馬だが、母の父Gilded TimeはブリーダーズCジュヴェナイル(米G1・ダ8.5f)を勝ち、ブリーダーズCスプリント(米G1・ダ6f)で3着となったスピード馬で、Damascus系らしいパワーを伝えた。母フサイチジェットはパワー型のアメリカ血統で構成された外国産馬。したがって産駒は漏れなくダート向きに出ている。

 本馬の父スマートファルコンはダート中距離のGIを勝ちまくった砂の名馬。芝に見向きもせずダートの大物を作りに行った配合だ。中距離のダートで期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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