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無観客競馬の今昔

  • 2020年02月29日(土) 12時00分

生涯最後のうるう日の土曜競馬中継!?


 ついに日本でも無観客競馬が始まりました。やっぱりか、という感じですね。

 というわけで、きょう2月29日の「ウイニング競馬」は、観客のいない中山、阪神、中京競馬場のレースをお伝えする予定です。

 予定です、と書いたのは、このコラムを入稿した後から公開されるまでの間に何が起こるか分からないから。私がどういうことを想定しているかは、改めて言う必要もないでしょう。そういう事態にならないよう、祈るしかありません。

 中央競馬が無観客で開催されるのはもちろん初めて。ですが、かつて(おそらく)無観客で馬券も発売されずに実施されたレースはいくつかあります。

 それは第2次世界大戦のさなか、1944(昭和19)年に行われた「能力検定競走」です。第6回皐月賞、第13回東京優駿(日本ダービー)とされているレースなどがそれで、皐月賞はクリヤマト、ダービーはカイソウという馬が優勝しています。

 さらに、菊花賞にあたるレースも行われ、ダービー馬のカイソウが1位でゴール。ところが、出走全馬が本来走るべきコースを走らなかったという理由で、レースは不成立になってしまいました。主催者の不手際で、前年からのコース変更を騎手に伝え切れていなかったのが原因とか。なので、このレースは菊花賞の回数にカウントされていません。

 先週の当コラムにも書いたように、現在、香港競馬が無観客開催中です。競馬場でレースは行うものの、馬主と関係者以外の入場は不可。場外馬券発売所も閉鎖され、馬券はインターネット投票による発売に限定されています。

 その香港では、1週間に2日だけ、一部の場外発売所を再開するそうです。ただし、馬券は買えません。そこで行う業務は、インターネット投票の新規申し込みや口座への入金手続きなど。今まで競馬場や場外発売所で馬券を購入してきたファンに、インターネット投票してもらうためのサービスのみを行う、とされています。

 ということは、もうしばらく無観客競馬を続けるわけです。それを始めてから約1カ月経っても、まだそうせざるを得ないというところに、事態の深刻さがうかがえます。日本の競馬はどうなるのでしょうか?

 さて、もともと今回のコラムは2月29日をメインテーマにするつもりでした。せっかくなので、かいつまんで書かせていただきます。

 土木火日金水月。これは、2月29日が何曜日になるかの順番です。その日が土曜日になるのは、うるう年7回に1度(つまり28年に1度)。今年は、1964年、前回の東京オリンピックの時と同じ曜日配列になっています。

 私が2月29日(土)の競馬中継に携わるのは1992年以来2度目。次は2048年になっちゃいますから、生涯ではこれが最後でしょうね。その競馬が無観客開催になるなんて!!!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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