大一番を目前にして迫られる難しい判断
新型コロナウイルス感染者数が国内で徐々に増加してきている。今日現在、全国で1039人、うち北海道が最多の83人という。これを受けて先週、北海道の鈴木直道知事は異例の緊急事態宣言を発表し、道民に週末の外出自粛を要請する事態になった。
その後、全国的に感染者が増え続けており、中央、地方のいずれもが無観客開催に踏み切ったのは周知の通りだ。
北海道では今、ばんえい競馬が開催中だが、もちろんそうした他場の流れを受け、先週と今週末の開催は、無観客で実施することがすでに決定している。
無観客開催なので、取材も基本的にできない。今週末の7日(土)は3歳馬による「イレネー記念」(重賞)が組まれているが、取材申請をしようと思い連絡を入れたところ、ものの見事に断られた。因みにその次の週以降の措置については「未だ内部で検討中」とのことで、詳細は明らかにされなかった。
私の周辺でこのところ聞こえてくるのは、「3月21日のばんえい記念はどうなるのか?」という不安の声である。年度末の大一番として、破格の賞金をかけ、斤量1トンをの重量を曳くばんえい記念は、間違いなくばんえい競馬最大の注目レースである。
大一番とだけあり多くのファンが帯広に集まる(写真は2010年ばんえい記念開催時のもの)
何を措いても、この日だけは帯広競馬場に行き、現地でこの大一番を観戦する、という熱心なファンが全国各地から集結する。彼らは相当早い時期から航空券とホテル、レンタカーを予約しており、ばんえい記念前夜と当日の夜は、市内の飲食店に繰り出して繁華街を行き来し、大勢で盛り上がるのが通例であった。
それがどうやら、今年はかなり雲行きが怪しくなってきた。現時点ではまだ何とも発表されていないが、ばんえい記念も無観客開催になってしまう可能性が出てきたからである。
すでに今週末の8日より始まる大相撲春場所、さらに19日から開幕する甲子園の選抜高校野球大会は、無観客での開催が発表されており(高校野球は11日に中止を含めて再度発表予定という)、その他のスポーツや各種イベントの多くが開催中止もしくは規模縮小に踏み切ることになっているようだ。
前代未聞の大騒動に発展してしまった感が強い。ばんえい競馬は、3月24日(火)まで開催した後、約1カ月間の休みを経て、令和2年度は4月24日(金)に開幕する。休みに入ってしまえば、しばし猶予期間があるものの、まずは3月14日(土)〜16日(月)の3日間と、20日(金)〜24日(火)の5日間の開催をどうしたら良いか、ひじょうに難しい判断を迫られているはずだ。
ファンが密集状態の競馬場には潜在的な危険がある(写真は2010年ばんえい記念開催時のもの)
新型コロナウイルスの終息する目途が立たない限り、いずれ4月15日に開幕予定のホッカイドウ競馬も、対応を迫られる。その頃には感染拡大が収まっていて欲しいが、ここ数日の各地の発生状況を見ていると、どうも潜在的な感染者が、実は相当な数に上るのではないか、とさえ思えてくる。軽度の感染者が媒介者となって、満員電車や大型店舗など人の集まる場所に出没し、新たな感染者を作りだしてしまうという構図ではないのか。
日高では、今のところ感染者が2人(新ひだか町、70代女性)出ただけで済んでいるが、漏れ伝わってくるところによれば、この田舎町でもとりわけ飲食店が悲鳴を上げ始めているという。予約キャンセルにより売り上げ激減というお店が少なくないのだそうだ。
もちろんマスクはどこに行っても売り切れで全く入手できない。厩舎作業の際に必ずマスクを着用している友人などは、かなり困っている。果たしてこの騒動、いつまで続くものやら。