人懐っこそうな表情を見せるナックビーナスですが…(C)netkeiba.com
前走オーシャンSで4年連続の2着となったナックビーナス。どこでもどんな馬場でも堅実に一生懸命走ってくる彼女は今年7歳を迎え、近頃ファンからは姐さんと呼ばれる存在に…。迫力ある馬体も相まって「頼れる強い姐御」の印象もありますが、実は一切そんなことはなく…? 4度目の高松宮記念出走を前に、担当の永井智樹厩務員にお話を伺いました。
(取材・文=佐々木祥恵)
ツンデレじゃなくて、ツンだけ!
4年ほど前のある日、トレセン内を自転車で走っていると、友人でもある杉浦厩舎の永井智樹厩務員とバッタリ出会った。最近どう? と質問すると「2着続きでなかなか勝てないんだよ」という答えが返ってきた。成績を調べてみると確かに未勝利戦で2着が続いている。だがこういう馬は相手なりに走る傾向にあるので、勝てさえすれば上のクラスに行くかもなと思いながら「早く未勝利脱出できると良いね」と言って、その場を後にした。
2着続きだったその馬はその後すぐに勝ち上がり、気が付けばオープンまで昇格。重賞でも活躍するようになっていた。その馬が、今回の主役ナックビーナスだ。
3月18日。調教終わりの時間を狙って厩舎を訪ねると、競馬雑誌用に高松宮記念有力馬の立ち馬撮影が行われていた。
「物見するから、そこを動かないでね」と永井さんに言われたので、撮影が終わるまで厩舎の敷地の外れで息を潜める。終了すると、ビーナスは洗い場へと移動。薄手の馬着を着せてもらう。物見は結構激しいのかと尋ねると、ちょっとしたことにもビクッとなるとのこと。
担当の永井さんとナックビーナス(撮影:佐々木祥恵)
「でもそういうところがスプリンターなんじゃないかな。去年香港に行った時も、日本馬でスプリントはこの馬だけだったんだよね。リスグラシューとか他の日本馬はみんな大人しいけど、この馬だけ違ったよ、ピクピクしていて」
と永井さん。
やがて洗い場での一連の作業が終わり、ビーナスは馬房に戻り、その前に飼い葉桶と水桶が吊るされた。
「食べて、口ゆすいでと交互にやるんだよね」
香港遠征時もビーナス用に飼い葉桶と水桶が吊るせるようにしつらえたという。
レディにこんな表現をするのは気がひけるが、ダイワメジャー産駒らしく顔も体全体もかなりごつい。「胸前なんかすごいでしょ」と永井さんに言われるまま視線を移すと、馬着越しにも筋骨隆々ぶりが伝わってくる。
「この顎っぱりから、ガツガツ食いそうに見えるけど、それが違うんだよね」
確かにごつい顔と体に似合わず、音も立てずにしずしずと食べていた。
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落ち着いたところでビーナスの性格を尋ねると
「全然懐かない(笑)」
と一言。時折、首を伸ばして顔をこちらに近づけてきたりと人にも興味がありげな仕草も垣間見せているが、