▲角居厩舎出身、サートゥルナーリアも担当した吉岡調教師 (C)netkeiba.com
3月15日中京6Rをトゥインクルリーフで勝ち、初出走を勝利で飾った吉岡辰弥厩舎。同日の金鯱賞を勝ったサートゥルナーリアは奇しくも吉岡調教師が調教助手時代に担当していた馬でした。
シーザリオのアメリカンオークスをきっかけに角居勝彦調教師に憧れ、その子供サートゥルナーリアでのGI制覇、そして技術調教師時代は中内田充正厩舎で勢いのある厩舎ならではの空気感や調教法を勉強した吉岡調教師。10代から競馬界に身を置いてきた注目の新人調教師に迫ります。
(取材・構成:大恵陽子)
助手最後の仕事はサートゥルナーリア
――新規開業おめでとうございます。鮮やかな色の厩舎服やラグが早速、調教場でひときわ目を引きました。
吉岡辰弥調教師(以下、吉岡師) ありがとうございます。厩舎のマークはケンタウルスで、「人馬一体」と「目標を狙うイメージ」で決めました。厩舎カラーは角居勝彦厩舎出身なので緑にしたかったんですけど、緑の厩舎が多いので青を入れました。
――こうして厩舎服や馬具などを1つ1つ揃えていって、晴れての開業ですね。
吉岡師 調教師試験に合格する前から厩舎のロゴマークとか色とか、そんなことばかり考えていました(笑)。7年間ずっと机の前で勉強していたので、そうしないとモチベーションが上がらなくて。なので、今すごく楽しいです。厩舎服も合格と同時に発注しました。
▲首元には「人馬一体」を表すケンタウルスのマークが (C)netkeiba.com
――吉岡調教師は10代でトレセンに入られたんですよね?
吉岡師 馬券好きの父の影響で小学6年生から競馬場の乗馬センターに入って、ジョッキー志望で競馬学校も受けたのですが、身長がだいぶ超えていました。すぐに厩務員課程に切り替えて中学卒業後は牧場で働き、17歳で藤岡範士厩舎(2014年解散)に入りました。
――インティなどを管理される野中賢二調教師も助手時代に在籍してらっしゃった厩舎ですね。
吉岡師 野中先生がずっと厩舎でパンをかじりながら勉強しているのを見て、「僕には無理」と思っていました。
――では、調教師を目指すきっかけというのは?
吉岡師 角居厩舎での研修でフランスの小林智先生の所に行かせていただいた時に決めました。角居厩舎に所属した時はまだ調教師は考えていなかったのですが、少しずつそういう気持ちが出てきていたとは思います。フランスでがんばっている調教師さんを目の当たりにしたら、僕もがんばらないとなって、最終的なきっかけになりました。
――角居厩舎には数々の名馬がいますが、印象に残る馬は?
吉岡師 ミクロコスモスです。角居厩舎で最初に担当した馬で、育成でも期待されていた能力の高い馬でした。
でも、気性が難しくて、難しくて……。競馬では能力の半分も出していないんじゃないかなって思うくらいで、当時は全く扱えずすごく悔しい思いをしました。いろんな経験をさせてもらって引き出しが増えた今、あの馬を担当すればまた違ったんじゃないのかな、とも考えます。