▲ユーキャンスマイル、いざ春盾獲りへ (c)netkeiba.com
単勝1.6倍の圧倒的1番人気・キセキの大出遅れによって、波乱のスタートとなった阪神大賞典。道中、懸命に挽回を図るキセキを直線半ばで交わし勝利したのは、後方待機の作戦ながらインにこだわり続けたユーキャンスマイル×岩田康誠騎手のコンビでした。哲三氏は「3000mという長距離で常に優位に立っていた」と、いくつかのポイントを解説。パーフェクトな導きによる快勝に、天皇賞(春)でも期待大!
(構成=赤見千尋)
終始キセキをマークもあえてインへ
阪神大賞典は2番人気だったユーキャンスマイルが間を割って突き抜けました。岩田(康誠)君らしい騎乗が随所に光っていて、コントロールの仕方、進路の取り方、完璧な騎乗だったと思います。
特に目を引いたのは、『折り合いの質が良かった』ということ。言葉で説明するのがなかなか難しいのですが、逆に『折り合いの質が悪い』例をあげると、レース後のコメントでたまに出て来る、「道中我慢が効いていて、これならと思ったけれど、直線では案外伸びなかった」という場面。
僕の持論では、我慢が効いたところからスピードを合わせるというのはすごく難しいと思っていて。例えて言うならば、すごく狭い範囲の中でスピードを合わせていくことになる。でも阪神大賞典の岩田君の乗り方は、広い範囲の中でスピードを合わせていて、スピードをワイドに使えた方が、結果的にゾーンが広くなるんです。レース中はすべての場面で、他の馬たちよりも優位な立ち位置で運んでいるように見えました。
おそらく相手は川田(将雅)君が騎乗しているキセキだろうというのが頭にあったと思うし、実際キセキの後ろにつけていました。途中でキセキが押し上げて行きましたが、