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【高松宮記念】「ササってる、でも伸びている…」GI勝利を目前にしたジョッキーの心理

  • 2020年04月02日(木) 18時01分
哲三の眼

▲雪辱! 松若風馬騎手がモズスーパーフレアとのコンビでGI初勝利 (c)netkeiba.com


春のGIシーズン開幕戦・高松宮記念は1位入線のクリノガウディーが、4位入線のダイアトニックの進路を妨害したとみなされ、2位入線のモズスーパーフレアが繰り上がり優勝となりました。複雑な決着ながらもGI初勝利となった松若風馬騎手には、継続騎乗だからこそ活きたポイントがいくつかあったと分析。一方、GIでの1位入線馬による降着劇は、2010年のジャパンC以来、約10年ぶりの出来事。GI勝利を目前にしたギリギリの攻防、そのジョッキー心理を推察します。

(構成=赤見千尋)

前走の56kg経験が最後のひと踏ん張りに


 高松宮記念は1位降着で2位入線だったモズスーパーフレア&松若(風馬)君が、初のGI制覇となりました。繰り上がりでの1着で、納得出来ない部分もあるかもしれませんが、松若君の騎乗自体はとても素晴らしかったです。

 内側に絶好のスタートを切った馬がいて、モズスーパーフレアはトップスタートというわけではなかったけれど、それでもしっかりとスタートを決めて、スピードを出し過ぎず抑え過ぎず、1200mを同じようなペースで走れたのではないかと。

 直線で外から並ばれた時には、正直言って下がるだろうと思ったので、そこからまた盛り返したのは驚きました。最後に盛り返せた要因は、馬場状態も影響していると思うし、競られなかったところもレースがしやすかったと思いますが、それ以上に先ほど挙げた、『スピードを出し過ぎず抑え過ぎず、同じようなペースで走れた』ことが大きいと思います。

 振り返ると、スプリンターズSの時もいい逃げ方をしていたし、今回も返し馬からすごくいい形で馬を走らせていました。当日の朝まで雨が降って、その後晴れている状態での重馬場ですから、馬場読みも難しいところがあったと思います。そこは乗り慣れている強みで、天気が悪い時にも追い切りに騎乗したことがあるでしょうから、そういう経験が活きたのではないでしょうか。

 それに、前走シルクロードSで牡馬相手に56kgで戦っていたことも、最後の踏ん張りに繋がったのではないかと。シルクロードSでは競り負けて4着でしたが、牝馬にとって過酷な条件ですから、この敗戦を経験したことも大きいのではないかと思います。

 ただ今回は、お客さんがいない状態で、繰り上がりでの1着ということで、GIジョッキーにはなったけれど、「次はお客さんがいるところで、1位入線で勝ちたい」というさらなる欲が出たのではないでしょうか。秋のスプリンターズSでまた勝って欲しい、応援したいと思えるレースでした。

GIの舞台、勝利が見えた瞬間のジョッキー心理


哲三の眼

▲1位入線のクリノガウディーは進路妨害のため、4着に降着 (c)netkeiba.com


 ハナ差2着だった(池添)謙君は、相当悔しかったのではないかと思います。初めての1200mで、先行馬が踏ん張る中、唯一すごい脚で伸びて来ましたね。良馬場だったら…と思わせる内容で、馬場に泣いた印象です。

 1位入線で4着になってしまったクリノガウディー&和田(竜二)君は残念な結果になってしまいました。和田君は

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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