▲フラワーCを制し、JRA重賞初制覇を果たした藤井騎手 (撮影:桂伸也)
2020年のクラシックがいよいよ開幕。桜花賞にフィオリキアリで挑む、藤井勘一郎騎手を直撃しました。
3月20日のフラワーCでJRA重賞初勝利を挙げた藤井騎手。6度目の挑戦でJRAの騎手試験に合格、念願のデビューを果たしてから1年で手にしたタイトルでした。
騎乗したアブレイズはノースヒルズの生産馬。前田会長とは同じ奈良県出身ということで、縁が生まれたと言います。オークス直行となったアブレイズの可能性、そして桜花賞のフィオリキアリの手応えを語ります。
(取材・構成=不破由妃子)
※このインタビューは4/1(水)に実施しました。スタッフは最小限の人数で全員マスクを着用し、藤井騎手との距離を保ちながら、十分な換気のもとで行っております。
ゴールした瞬間、感情が湧き出してきて…
──アブレイズで挑んだフラワーCで重賞初制覇。新馬戦に続く騎乗で、12番人気の評価でしたが、藤井さんご自身はどんな手応えを持って臨まれたんでしょうか。
藤井 新馬戦が好位に付けて差し切るという競馬で、内容的にも強かったので楽しみではあったんですが、さすがに2戦目でしたし、キャリアを積んでいる馬がたくさんいましたからね。
それに、中山の芝1800mで8枠13番というのは、ハマらなければ決して有利とはいえない枠順だと思っていました。そんななか、アブレイズがポンと好スタートを切ってくれて。
──初戦もそうでしたが、スタートセンスがいいですよね。
藤井 そうですね。しかも、押して押してではなく、自分からスッと行ってくれるのがこの馬の強味です。もともと「スタートをバシッと決めて…」というプランだけではなく、いろいろなパターンを考えていたんですけど、1コーナーで2番手につけられた時点で、一番いい形に持ち込めたなと思いました。
──なるほど。1コーナーの時点で「よし!」と。
藤井 はい。しめしめっていう感じでしたね(笑)。まぁ人気がなかったぶん、目標にされなかったこともあの位置を取れた要因だとは思います。直線も本当にしぶとかったですね。追っているときに、後ろからレッドルレーヴ(2着)がきているのは感じていたんですけど、最後までよく我慢してくれました。
──ゴールした瞬間は、どんなお気持ちでしたか?
藤井 ガッツポーズをしたんですけど、あらかじめ考えていたのではなく、感情が湧き出してきた感じで…。JRAの騎手試験に6度目の挑戦で合格して、こうして重賞に騎乗する機会をいただいて、しかも結果を出すことができた。
遠回りにはなったんですけど、ワンステップずつ踏めていることがやっぱりうれしいですね。それに、池江先生にはデビューしてすぐの頃から騎乗依頼をいただいているので、なおさらうれしかったです。