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両親はいずれも三冠馬、アカイトリノムスメ

  • 2020年04月08日(水) 12時00分
●アカイトリノムスメ(牝 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母アパパネ)
 母アパパネは2010年の牝馬三冠馬で、翌年のヴィクトリアマイル(GI)では女傑ブエナビスタを破って優勝している。本馬はジナンボー(19年新潟記念-GIII・2着)、ラインベック(19年東京スポーツ杯2歳S-GIII・3着)の全妹。

「ディープインパクト×キングカメハメハ」はワグネリアンやデニムアンドルビーをはじめ多くの活躍馬が出ており、連対率31.8%、1走あたりの賞金額536万円と走っている(ディープインパクト産駒全体は24.2%、336万円)。母は筋肉質で大柄な馬体をしており、Kingmambo系の長所であるフィジカル面の強さを持っていた。小柄でやや非力なところもある父にいかにも合いそうなタイプだ。配合、馬体とも相性的には申し分ない。

 本馬は牝馬に出たので、この血統につきまとう気性面の難しさが出ることが心配材料だが、それがなければ重賞級の活躍が望める。

●アスコルターレ(牡 栗東・西村真幸 父ドゥラメンテ、母アスコルティ)
 母アスコルティは、タッチングスピーチ(15年ローズS-GII)、ムーヴザワールド(17年共同通信杯-GIII・3着)、サトノルークス(19年菊花賞-GI・2着)の半姉にあたる良血で、現役時代にJRAで9戦2勝の成績を残した。

 2代母リッスンはフィリーズマイル(英G1・芝8f)の勝ち馬。近親には多くの活躍馬がいる。父ドゥラメンテは新種牡馬で、現役時代に皐月賞(GI)と日本ダービー(GI)の二冠を制した。

 まだ産駒がデビューしていないので、どんな配合が成功するのか現時点では手探りだが、デインヒルとSadler's Wellsを併せ持つ母は欧州的な底力の塊で、このパターンから走る馬を出せるようなら、素軽さやポテンシャルの高さはかなりのものだろう。芝向きの中距離タイプ。

●アルビージャ(牡 美浦・手塚貴久 父モーリス、母アロマティコ)
 母アロマティコは重賞こそ勝てなかったが、エリザベス女王杯(GI)3着、秋華賞(GI)3着、クイーンS(GIII)2着などの成績を残した。2代母ナスカは不出走馬ながらサンバレンティン(重賞2勝)、インティライミ(重賞3勝)の4分の3妹にあたる。

 ガーサント、ノーザンテースト、サンデーサイレンス、キングカメハメハと代々交配されてきた母は、同じ社台グループで育まれたドゥラメンテやルーラーシップとよく似た配合構成。本馬の父はモーリス。今年の新種牡馬で、父系はスクリーンヒーロー→グラスワンダー→Silver Hawk→Robertoとさかのぼる。スクリーンヒーローの母ランニングヒロインは「サンデーサイレンス×ノーザンテースト」で、本馬の2代母ナスカと同じ組み合わせ。

 したがってランニングヒロイン≒ナスカ3×2という組み合わせのクロスを持つことになる。このファミリーではカラル(父ルーラーシップ/現3勝)が似た配合パターンを持っているので悪くない。芝向きの中距離タイプ。

●ゾディアックサイン(牡 美浦・萩原清 父モーリス、母レネットグルーヴ)
 母レネットグルーヴは現役時代に芝1800mで3勝を挙げた。2代母イントゥザグルーヴは名牝アドマイヤグルーヴの全妹にあたる良血で、それにキングカメハメハを付けて誕生した母は二冠馬ドゥラメンテと同血だ。

 初仔のスピッツェンバーグ(父ハービンジャー)は現時点で3戦未勝利。父モーリスは現役時代に安田記念(GI)、マイルCS(GI)、天皇賞・秋(GI)を勝ったほか、香港でも香港マイル(G1)、チャンピオンズマイル(G1)を制した名馬。今年の2歳世代が初年度産駒で、血統登録頭数は176頭。仕上がりは比較的早いが、本馬は成長力豊かなエアグルーヴ牝系に属しているので、3歳、4歳になっての伸びしろも大きいタイプだろう。

 非サンデー系種牡馬がサンデーサイレンスのクロスを持ち、母の父にキングカメハメハを挟むという配合パターンは、エピファネイア産駒で成功(デアリングタクト、スカイグルーヴ)しているので期待したい。芝向きの中距離タイプ。

●テネラメンテ(牝 美浦・木村哲也 父ドゥラメンテ、母スターアイル)
 ミッキーアイル(14年NHKマイルC-GI、16年マイルCS-GI)、タイセイスターリー(父マンハッタンカフェ/17年シンザン記念-2着)の半妹。ステラマドリッドの直牝系は発展しており、他にラッキーライラック(17年阪神JF-GI、19年エリザベス女王杯-GI、20年大阪杯-GI)、アエロリット(17年NHKマイルC-GI、18年毎日王冠-GII、17年クイーンS-GIII)などが出ている。

 これに新種牡馬ドゥラメンテを付けて誕生したのが本馬。Nureyevのクロス(5×3)はキングカメハメハ系の定番の成功パターンなので好ましい。芝向きのマイラー。

【お知らせ】
 当コラムは今回分をもちまして、終了とさせていただきます。これまでのご愛読、誠にありがとうございました。

 筆者・栗山求氏は4月13日から毎週月曜日の18時に新コラム『今日から使える!簡単血統塾』の連載を開始いたします。引き続きお楽しみください。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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