【桜花賞】人によって桜の見方は様々、どこに見所を見つけるか
若駒たちの成長過程に注目していきたい
陽春という名にふさわしいのどかな日を萩原朔太郎は、春がまっしろの欠伸(あくび)をすると記したが、今年はどうもそうなりそうもない。この落ちつきのない日々、そこで迎えるクラシック第一弾。それでも、冷静に対応しなければならない。
桜の見方は人によってさまざま。咲き誇る桜をみるのもいい。一分咲きの桜に心をおどらせるのも悪くない。朝の桜、昼の桜、夜の桜、散る桜、残る桜、雨に打たれてひっそりたたずむ桜、実に色々ある。
だが、どれもがさまざまな姿で私たちに春の命を見せてくれている。桜花賞の舞台に立つ若駒たちも、自らの生涯を賭けて力走し、見る者の心をとらえてきたが、この時期の牝馬は未完成だからそれぞれ課題をかかえて走っているのが多い。
よく聞くのは、カイ食いのこと。成長途上にあるから、とにかくカイバを食べさせるのが第一。レースで減った体をもどし、さらにうまく成長させていく。それによって、高いレベルで安定して走れるようになる。また、カイバをよく食べる馬には、強いケイコを課すことができるのだ。特に、体重を増やしても成績がいい馬は、本物と言える。
チューリップ賞を勝ったマルターズディオサは、どんなときでもくずれない精神力がそなわっているのが強味だが、これからは体が増えてくるかが注目点としてあげられる。牝馬によくあるテンションの高さも、スローペースでも先行集団にとりつき、落ちついたレースができ、成長を見せていた。昨年から産駒がデビューしているキズナが父馬だが、長く脚を使うタイプが特長で、今後も含めて期待していきたい。
やはりチューリップ賞組が今年も強いと思うが、2歳牝馬チャンピオンのレシステンシアの巻き返しこそ、最大の焦点だ。前走のため逃げが合わないことが分かったので、速いペースでレースを引っ張り、長く脚を伸ばして最速の上がりをマークした阪神JFの戦い方になる。女傑ウオッカのレコードを破ったのだから、スピードで圧倒するシーンが期待できる。何が何でも飛ばしていきたいスマイルカナがいるが、武豊騎手ならかえって巧くあしらえるだろう。
エルフィンSで、4角10番手からちょっと仕掛けて4馬身と圧勝した2戦2勝のデアリングタクトには、未知の魅力があるが、テンションが上がりやすいところをどうケアしてきたか見てみたい。これと、牡馬相手にシンザン記念を勝ったサンクテュエール。レースがもつれたときのミヤマザクラを。母がクロフネの半妹で、スタミナとパワーがある。
どこに見所を見つけるかだが、牝馬の時代がくるかもしれないから、その成長過程に注目していきたい。