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「POGザワールド2020」10頭の指名馬

  • 2020年04月22日(水) 12時00分

シーズン末に発表されるワールドランキングから大予測!


 競馬が止まっている欧州では、ドイツが5月1日から、無観客でなおかつ1日1競馬場に限定しての再開を視野に入れている。フランス、アイルランドなども、具体的な再開日や開催手法の検討に入っている他、アメリカからも同様の動きが聞こえてきており、徐々にではあるが、世界各国の競馬場に蹄の音が戻ってくる気配が漂いはじめている。

 崩れてしまった競走体系を、いかにして再構築するかを含めて、課題は山積しているものの、閉じこもって蹲らざるを得なかった状態から、前を向いて一歩を踏み出せる態勢が整いつつあることは嬉しい。

 そこで今週のこのコラムは、今後の世界の競馬をいかに楽しむかというテーマでお届けしたい。ズバリ、筆者がことさら大きな期待をかけたいと思っている、10頭の現役馬を披露させていただく。そのモチーフとなるのは、手前味噌で恐縮ではあるのだが、筆者が出演させていただいているグリーンチャンネル「Go Racing! 2020」のコーナー企画である、「POGザワールド」だ。

 端的に言えば、世界版のPOGが「POGザワールド2020」だ。プレイヤー各々が、10頭の現役馬を指名。賞金総額や、レース毎に定められたポイントの合計で優劣を競うことが多いのが一般的なPOGだが、各馬が獲得する公式レイティングの合計で勝敗を決めるのが、POGザワールドの特徴だ。

 細かなルールについては、グリーンチャンネルのホームページをご確認いただきたい。

 前置きが長くなったが、以下が筆者の指名馬で、つまりは、シーズン末に発表されるワールドランキングで、上位に入るであろうと筆者が予測する馬たちである。

 まずは、女王エネイブル(牝6、父ナサニエル、ジョン・ゴスデン厩舎)。3歳時がレイティング128で世界4位、4歳時は125で世界9位タイ、5歳時は128で世界首位タイの同馬が、今季も現役に留まったとあっては、外せない1頭である。

 続いて、ゴドルフィンのガイヤース(牡5、父ドゥバウィ、C・アップルビー厩舎)。19年はレイティング126で世界5位タイに入った同馬。今季初戦となったメイダンのG3ドバイミレニアムS(芝2000m)も、8.1/2馬身差で圧勝。自分の競馬が出来ればビッグパフォーマンスを見せるキャラクターは健在だ。

 さらに、3歳世代のピナトゥボ(牡3、父シャマーダル、C・アップルビー厩舎)。昨年、2歳馬としては今世紀最高となるレイティング128を叩き出したこの馬も、順調に使われさえすれば、今季も大きな数字を獲得するのは確実と見る。

「Go Racing! 2020」の私以外の二人のプレゼンターである舩山陽司さんと田中歩さんも、既に指名馬を公表していて、実はここまでの3頭は舩山さんも田中さんも指名リストに入れている馬たちだ。要するに、今季の活躍を誰もが予期するのが、ここまでご紹介した3頭と言えよう。

 合田の4頭目は、ゴドルフィンのベンバトル(牡6、父ドゥバウィ、S・ビンスルール厩舎)。19年はレイティング125で世界9位タイ。今季初戦のG2シングスピールS(芝1800m)を快勝した後、ダートに転身してG2アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド2(d1900m)1着、サウジC(d1800m)3着の成績を残している。今後どちらの路線に行くにしても、少なくとも120は獲得する地力のある馬と見る。

 5頭目、6頭目は、北米の古馬からのセレクトとなる。昨年は122で世界19位タイだったマキシマムセキュリティ(牡4、父ニューイヤーズデイ、B・バファート厩舎)。2月29日のサウジC優勝は、このレースまで同馬を管理していたJ・サーヴィスの薬物疑惑発覚によって無効とされる可能性はあるものの、後を引き継いだのがボブ・バファートならば、シーズン後半に必ずや、大きなところをもっていく競馬をさせてくれるはずだ。

 北米のもう1頭は、19年はレイティング116で世界149位だったムーチョグスト(牡4、父ムーチョマッチョマン、B・バファート厩舎)。現段階では数字が未発表なのだが、後続に4.1/4馬身差をつけた1月25日のG1ペガサスワールドC(d9F)で、相当大きな数字を貰っているはずと踏んでの指名である。

 残る4頭は、いずれも3歳世代からのチョイスとなった。しかもその4頭は、重賞に出走した経験すらない馬たちばかりで、先物買いというか、隠し球というか。もっとも、名前を出せばマニアならばすぐに、戦績と血統が思い浮かぶ馬たちであろう。

 1頭は北米調教のシャーラタン(牡3、父スパイツタウン、B・バファート厩舎)。今年2月にデビューし、メイドンとアロウワンスを連勝。2着馬につけた着差の合計が16馬身という噂の大物で、4月3日から5日に催されたケンタッキーダービーの単勝前売りでも、個別の馬では1番人気に推されている。父スパイツタウンはセクレタリアトの3×4というインブリードを持っているが、シャーラタンの走りをそのセクレタリアトになぞらえる声も出ている。5月2日にオークローンパークで行われるG1アーカンソーダービー(d9F)に出走予定だ。

 残る3頭は欧州調教馬。パレスピーア(牡3、父キングマン、J・ゴスデン厩舎)は、タタソールズ・オクトーバーにて60万ギニーで購買された馬で、2歳8月にデビューすると、サンダウンでメイドン(芝7F)と条件戦(芝7F)を連勝。その後、ロンシャンのG1ジャンルクラガルデル賞(芝1600m)を使う予定だったが、脛骨骨折で戦線を離脱した。陣営は当時、ギニープレップには間に合うとしていたので、さほど大きな怪我ではなかったはずだ。二千ギニーの前売りで、オッズ13〜17倍の3〜7番人気に推されている。

 ヴァルドコーニグ(牡3、父キングマン、J・ゴスデン厩舎)は、父も厩舎もパレスピーアと同じであるだけでなく、タタソールズ・オクトーバーで購買された時の価格も同額の60万ギニーだった。19年のG1凱旋門賞(芝2400m)など4つのG1を制したヴァルドガイストの半弟で、12月7日にウルヴァーハンプトンのメイドン(AW8F142y)を9馬身差で制しデビュー勝ちを飾っている。ダービーの前売りで、オッズ13〜17倍の4〜5番人気に推されている。

 ラービハー(牝3、父シーザスターズ、J・C・ルジェ厩舎)は、ハムダン殿下のシャドウェルによる自家生産馬で、祖母がG1英オークス(芝12F6y)勝ち馬エスワラーという血統背景を持つ。1月23日に南仏カンスメールのメイドン(AW10F)を3馬身差で制し、デビュー勝ちを果たした。本馬の母の父はキングマンボで、G1ジャンプラ賞(芝1600m)勝ち馬ゼルザルや、G1ガネイ賞(芝2100m)勝ち馬クロスオヴスターズらと同配合となっている。彼らが期待通りに成長してくれれば、今年のPOGザワールドでは良い勝負が出来るはずなのだが?!

 ちなみに、筆者が指名をしていなくて、船山さんと田中さんがいずれも指名しているのが、G1インターナショナルS(芝10F56y)を含むG1・2勝馬ジャパン(牡4、父ガリレオ、A・オブライエン厩舎)、今季の香港4歳3冠馬ゴールデンシクスティ(セン4、父メダグリアドーロ、K・ルイ厩舎)、19年がレイティング127で世界4位にランクされ、今週末のG1チャンピオンズマイル(芝1600m)に出走予定のビューティージェネレーション(セン7、父ロードトゥロック、J・ムーア厩舎)、3月28日のG1フロリダダービー(d9F)を制し2度目のG1制覇を果たしたティズザロウ(牡3、父コンスティテューション、B・タッグ厩舎)の4頭だ。

 在宅時間が増えているであろう競馬ファンの皆様、独自に各国有力馬の成績や近況をお調べになり、POGザワールドにご参加いただくと、今年の世界の競馬をより一層楽しくご覧いただけると思う。ご応募、お待ちしています!!

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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