▲タイセイビジョンでNHKマイルCに挑む石橋騎手 (C)netkeiba.com
昨年の朝日杯FSは、サリオスの2着。今年初戦のアーリントンCを快勝したタイセイビジョンが、NHKマイルCに挑みます。手綱を託されたのは、今年すでに重賞3勝をマークしている石橋脩騎手。
新馬の頃から素質の高さが目立っていたというタイセイビジョン。課題の折り合いも解消され、自慢の豪脚を武器にGI奪取へ!! ……と思いきや、石橋騎手は「戦法にこだわらず」と語ります。この力強い言葉が意味するところとは? 主戦の胸中に迫ります。
(構成=不破由妃子)
※このインタビューはメール取材を基に構成しています。
新馬の時から「完成度の高い馬」
先週までの中央競馬で、重賞で3勝以上をマークしている騎手は6人。松山(6勝)、ルメール(5勝)、デムーロ(3勝)、川田(3勝)、福永(3勝)、そして唯一関東勢として名を連ねるのが、石橋脩(3勝)だ。
ダービー卿CT(クルーガー)を皮切りに、ニュージーランドT(ルフトシュトローム)、アーリントンC(タイセイビジョン)と、4月に入って3週連続でタイトルを奪取。キャリア18年目を迎えたベテランが、ここにきて勢いを増している。
▲クルーガーで制したダービー卿CT (撮影:下野雄規)
▲翌週のニュージーランドTをルフトシュトロームで勝利 (提供:デイリースポーツ)
▲タイセイビジョンのアーリントンCで3週連続の重賞勝利 (提供:デイリースポーツ)
そんななかで迎える、5月10日のNHKマイルC。パートナーは、アーリントンCでの豪快な末脚が記憶に新しいタイセイビジョンだ。朝日杯FS(武豊騎手騎乗で2着)以来となった実戦で、見事1番人気に応えた石橋。最高の形でクリアした始動戦をこう振り返る。
「『アーリントンCとNHKマイルCを続けて乗ってほしい』という依頼だったので、トライアルレースとして結果を出すことに加え、GIを見据えて乗ること、この2点を念頭にレースに挑みました。
直線は、内が伸びる馬場だということはわかっていたので、内に進路ができた瞬間に切り返しました。あの狭いところを伸びてきてくれたのは、力があるからこそ。折り合いさえつけば確実に脚を使ってくれると信じていましたが、その通りの内容になりましたね。やはり強い馬です」
タイセイビジョンには昨年6月の新馬戦(阪神芝1400m)で騎乗し、ノーステッキで2馬身半差の完勝。当時から素質の高さを評価していたが、その成長についてはどう感じ取ったのか。
「もともと完成度の高い馬なので、馬体の明らかな変化などは感じませんでしたが、このレベルになると、“変わらずに順調”ということが大事だったりもしますからね。
成長を感じたのはやはり精神面で、新馬のころは押していくとガーッと行ってしまいそうな危うさがありましたが、そういう面が解消されて折り合いがつくようになったのは大きな変化です。それを確認できたことが、アーリントンCの一番の収穫ですね」