長い直線はスタミナを要求される
色とりどりの花を咲かせる虹の花、ジャーマンアイリス。花弁のつけ根にブラシのような毛が密生している。優雅な姿はドレスをまとったようで、アイリスの仲間でもっとも華やかだ。しかし、そこまでもっていくには、生息できる条件を整えなくてはならない。日当たりと水はけがよく、乾きやすいところに浅く植えるのがポイントで、盛り土した上に置くようにしてやったら、この春は見事に咲いてくれた。自然の意志を大事にしてやるようなもので、そうすることで生命力みなぎる姿に接することができたと実感している。
NHKマイルCをターゲットに出走にこぎつけた3歳馬たちにも似たようなことが言える。マイル、それも東京のマイルでは何をもとめられるか。コース形態、道中のペース、直線の長さ、長い上り坂、芝の状態など、総合的に判断してこれならタイトルを手にできると出走してくる。総じてNHKマイルCはペースが速くなることが多く、それで長い直線が待っているから、どうしてもスタミナが問われる。このケースではマイル以上の距離実績のあるもの、1800米の毎日杯組の出番になることが多い。サトノインプレッサがこれに該当する。成長を待って昨秋10月にデビューさせ、ここまで3戦全勝。モズアスコット、コントレイルで今年すでにGI2勝の矢作きゅう舎で、毎日杯に続いて武豊騎手なので夢が広がる。
この世代のこれまでのGI戦は、暮れの3レースに桜花賞、皐月賞を加え5レース全てが勝ち馬は無敗馬。そこで気になるもう一頭のルフトシュトロームも考えたい。トライアルNZトロフィーを後方から大外をついて上がり最速34秒2で突き抜けた。3連勝ですべて上がり最速だが、速い流れをこれまでと違うかたちで対応できた。心身のバランスが徐々にとれてきた点は強調できるし、スタミナが要求される流れになった方が持ち味が生きると考えていい馬にみえる。
ハイペースのアーリントンカップをブービーポジションから差し切ったタイセイビジョンは、馬ごみの内で巧くコントロールできていた。朝日杯FSの2着馬で、5戦3勝2着2回、連対率100%が心強い。
タフな馬場だった桜花賞で速いペースを乗り切って2着したレシステンシアは、圧倒的なスピードと粘り腰が武器。牝馬55キロの定量を生かし早目に先頭に立ってどこまで粘れるか、ペースを握るのは間違いなさそうだ。
最後にもう一頭、サクセッションを。近年成績のいい早いデビュー組で、ゆったりローテーションでスプリングS3着からまわってきた。レース運びに注文がつかないのが利点。ベテランがどう御すか見のがせない。自然の条件がどの馬に味方するか。