▲松山騎手をゲストに迎え、デアリングタクトでの桜花賞を回顧します (C)netkeiba.com
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、競馬場やトレセンでの取材規制が今なお続いています。そこで今回はスタッフの同行なし、佑介騎手と松山騎手ふたりきりでの対談を実施しました。今週はデアリングタクトで制した桜花賞を振り返ります。
当日は雨で重馬場。「後ろから届く馬場じゃない」と感じていたと言います。しかし、ゲートが開くと前がゴチャつき気味に。それを目にした松山騎手は、瞬時に戦略を変えます。
その度胸には、「乗れてるジョッキーならではの自信を感じた」と佑介騎手。勝利を勝ち取った松山騎手の心理に迫ります。
(構成=不破由妃子)
※この対談は佑介騎手と松山騎手ふたりだけで、出来るだけ短時間で行いました。
「あの競馬はなかなかできない」プロから見たレースのツボ
佑介 弘平、桜花賞優勝おめでとう!
松山 ありがとうございます。
佑介 注目を集めていただけに、プレッシャーも大きかったんじゃない?
松山 そうですね。周りからも「強い、強い」って言われていたので…。もちろん僕自身も強い馬だと思っていたんですけど、やっぱりプレッシャーはありましたね。
佑介 しかも、こういう本命級の馬でクラシックに出たのは初めてでしょ?
松山 クラシックは初めてです。GIという括りでは、ミッキーアイルやドリームバレンチノで(上位人気を)経験していますけど、あのときも勝てると思って勝てませんでしたから。
佑介 そうだよなぁ。なんか今回のガッツポーズには、これまでのそういう思いが集約されていたのかなって。なんかこう、解放されたような。
松山 そうですね。さっきも言いましたけど、けっこうプレッシャーを感じていたし、そのぶん本当にうれしくて。
佑介 観ていた人は、そういう弘平の思いをみんな感じたと思う。デアリングタクトにはデビュー戦から乗っているけど、最初はそこまで「スゴイ!」っていう感じではなかったよね?
松山 はい。もちろんいい馬だなとは思いましたけど、正直、そこまでではなかったです。
佑介 だよな。周りの評価も、それほどではなかったような。新馬戦からグリグリだったわけでもないし。
松山 実際、調教自体はそんなに動く馬ではなくて、乗り味も「すごくいい!」とかそういう感じではないんですよ。ただ、実戦に行くと、めっちゃ切れる脚を使うという。
佑介 うん、新馬にしてもエルフィンSにしても、勝ちっぷりは際立ってたもんな。2戦目にエルフィンSを使って、そこからぶっつけで桜花賞っていうローテはなかなかないけど、逆にそれがよかったのかなっていう印象もあって。