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7月セレクトセールに向けて上場馬発表

  • 2020年05月27日(水) 18時00分

一昨年にはデアリングタクトを輩出


 先週はオークス、そして今週はいよいよ日本ダービーと、中央競馬の3歳頂上決戦を迎えているこの時期が、本来ならば春の競馬の最も盛り上がるシーズンだ。

 先週のオークスは、デアリングタクトが残り2ハロンで狭い馬群の間を抜群の末脚で抜け出し、見事に1番人気に応え優勝した。並みの馬なら抜け出して来られずに終わっていたであろう酷な展開であったが、最後に見せた瞬発力は恐るべき破壊力であった。すでに多くの人々が指摘している通り、現3歳世代の牝馬では実力が二枚も三枚も抜けている。とりわけ、ここぞという時の回転の速いピッチ走法と加速力は、惚れ惚れするほどだ。

 さらに驚きなのは、この馬が1歳時にセレクトセールにてわずか(というのもおかしな話だが)1200万円で落札されていたという履歴である。億超えのミリオンホースも珍しくないセレクトセールにあって、1200万円はかなり安価な部類に属するが、よくぞこんな原石を掘り当てたものと思う。元々、兄・繁幸氏とともに相馬眼には定評のある岡田牧雄氏だが、その後の育成過程を経て、ここまでの実力馬に育て上げた手腕には改めて敬意を表したい。

 オークスは2着、3着に兄・繁幸氏のウイン(マリリン、マイティー)が入り、岡田兄弟の、そして日高産馬のワンツースリーであった。日高産馬のオークス優勝は2013年メイショウマンボ以来7年ぶり、さらに掲示板の上位3頭を独占したのは果たしていつ以来のことになるだろうか。競馬場に観客が入っていたら、どれほど盛り上がったことかと残念でならない。

 その思いは生産者である長谷川牧場当主・長谷川文雄さんとて同じであろう。今回はGIの表彰台に立てる千載一遇のチャンスをコロナウイルス感染拡大により逸した形だが、デアリングタクトならばおそらく秋以降も必ずチャンスが巡って来るはず。まだ先の話とはいえ、秋華賞あたりで晴れ姿を見られるはずと期待することにしよう。

 さて、表題。今週月曜日(25日)にはいよいよセレクトセールの上場予定馬が発表された、セレクトセールは来る7月13日(月)と14日(火)に苫小牧市・ノーザンホースパークにて開催予定だが、今のところ予定通りに行われることになっている。

 ただ、今年は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言がこの25日に解除されたとはいえ、引き続き社会活動の多くが制限を受けていることから、セレクトセールも、入場できるのは購買者及び販売者(人数が限定されている)、そして一部の報道関係者のみということになりそうだ。

 主催者の日本競走馬協会によれば、「現時点での予定」ながら、「取材は各社1人という制限でお願いすることになると思います」とのこと。昨年までは、高額落札馬が出る度に夥しい数のカメラマン(スチール、動画)が立ち写真の撮影場所に集まり、密集して肩と肩をぶつけあうようにして撮影する光景が普通であった。しかし、今年はこの「密着、密集」状態を回避するために、立ち写真に関しては公式カメラマンが撮り、各媒体は主催者からその画像をダウンロードして二次利用する形式になるという。

生産地便り

昨年の落札馬撮影風景(提供:稲田氏)


 したがって、高額馬の落札者を囲む取材なども今年は難しくなるだろう。セリ会場内も席の間隔を空け、ウイルス感染防止のための対策を万全にして開催されることになるらしい。

 それはやむを得ない措置だろう。セレクトセールの翌週、7月24日に予定されていた日高軽種馬農協主催のセレクションセールは、一早く1ヶ月の延期を決め、8月24日に開催されることになった。その一方で7月7日に予定されている八戸市場(主催・青森県軽種馬生産農協)は、セレクトセール同様、日時を変更せずに予定通りに実施するという。

 ただし、八戸もまた、購買者と販売者のみに限定し、一般の見学者は入場を断って、できる限り三密を回避する形での開催になるという。

生産地便り

こちらも昨年の八戸市場開催の様子


 主催者それぞれでウイルス感染による対策が異なるわけだが、いざセリを開催してどんな数字が出てくるのかもまた気になる。昨年までと同様に引き続き好調な売れ行きを示すのか、それとも、新型コロナウイルス感染拡大による影響が市況に表れるのか。ひじょうに興味深い。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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