競馬界復活の足掛かりに!「OBSスプリング2歳セール」が開催
セール最高価格は前年を上回る結果に!
当初は4月21日から24日に開催が予定されていながら、新型ウイルス蔓延の影響で延期になっていた「OBSスプリング2歳セール」が、7週間遅れで6月9日から12日に開催された。
舞台となったフロリダ州は、感染拡大を比較的制御出来ている地域であることもあり、5月31日から6月6日まで公開調教を行なった上で、馬も人も会場に集まるライブ形式での開催となった。
一般景気がリーマンショックを上回る打撃を受けていると言われる中、市況は、総売り上げが前年比19.5%ダウンの5870万ドル、平均価格は前年比13.9%ダウンの9万3176ドル、中間価格は前年比16.7%ダウンの5万ドル、前年は19.5%だったバイバックレートが今年は19.1%となった。また、ミリオン越えは前年と同数の3頭出現している。
主催したOBSはこれを、現状からすれば堅実なマーケットであったとして、通常営業に戻ろうという競馬産業界の意思を示すことが出来たと評価している。実際のところ、バイバックレートの低下は想定されていたものではなく、購買の機会を待ち望んでいた馬主や調教師が多数いたことを示している。
その一方でコンサイナー側からは、下見に訪れる人たちの数が多かったほどには、実際の需要はなかったとの声が聞かれた。ことに、中間以下の価格帯での需要が薄く、通常ならば4万ドルから5万ドルの価格がついていた馬たちが、1万ドルから1万5千ドルで投げ売りされたと分析している。
また、高額取引馬10頭のうち実に8頭が、4月1日にガルフストリームパークで開催が予定されていながらキャンセルになった、ファシグティプトン・ガルフストリームセールから流れてきた馬たちであった。
セール最高価格は2日目の10日に記録された。上場番号1254番として上場された父ノットディスタイム・母シーザスモークショウの牝馬が、135万ドルで購買されたのだ。前年の最高価格は130万ドルだったから、トップエンドのマーケットは好調だったと言えよう。
2016年にG3イロコイS(d8.5F)を制し、G1BCジュヴェナイル(d8.5F)で2着となったのが父ノットディスタイム(その父ジャイアンツコーズウェイ)で、17年に1万5千ドルの種付け料が設定されて、ケンタッキーのテイラーメイドで種牡馬入り。今年の2歳が初年度産駒となる。OBSスプリングセールでは、母ビジネスデシジョンの牡馬が70万ドル、母ディライトフルメロディーの牡馬が57万5千ドルで購買されており、マーケットにおける評判は上々だ。
母シーザスモークショウは、G3セニョリータS(芝8F)勝ち馬。本馬は、19年のキーンランド・セプテンバーセールにて13万5千ドルでピンフックされていた。
公開調教で、2Fでは最速となる20秒2の好時計をマークした段階から、相当の高値となることが予測されていた本馬を購買したのは、エージェントのゲイリー・ヤング氏で、クライアントの名は明かしてない。
2番目の高値となる125万ドルで購買されたのが、最終日に登場した父クオリティロード・母ファルスインプレッションの牡馬だった。
18年のG1ブリーダーズフューチュリティ(d8.5F)3着、19年のG1ハリウッドダービー(芝9F)3着などの成績を残したスタンダードデヴィエーションの半弟にあたる本馬。昨年10月のファシグティプトン・オクトーバー1歳セールにて24万ドルでピンフックされていた。同馬も、公開調教で2F=20秒6の好時計をマーク。購買したのは、G1サンタアニタオークス(d8.5F)を含むG1・3勝馬ベラフィナ(父クオリティロード)らの馬主として知られるカリーム・シャー氏で、同馬はベラフィナも手掛けるサイモン・キャラハン調教師のもとに送られる予定だ。
北米の2歳セールはこの後、ファシグティプトン・ミッドランティックセールが、メリーランド州で6月29日と30日の両日にわたって開催予定。欧州でも、タタソールズのクレイヴン・ブリーズアップセールが6月25日にニューマーケットで、アルカナとゴフスが共同開催する2歳ブリーズアップセールが、7月1日にドンカスターで開催予定となっている。