ダート巧者のローテーションも大きく変わった
今年、人気のカフェファラオ、レッチェバロックはともに2戦して【2-0-0-0】。ただ、ダート界のエースには、連戦連勝の無敗馬や、キャリアの浅いチャンピオンはごく少ない。
ユニコーンSは、秋に施行されていた2000年までの5年を含み、過去24回。無敗のままの勝ち馬も、キャリア3戦以下の勝ち馬もいない。最少キャリア優勝馬は、4戦3勝馬(5頭)であり、戦歴2戦の馬は、3着に入ったこともないという怖い歴史がある。ダートのエースに育つには、バテながらも粘る厳しいレースと、苦い敗戦を乗り越えた経験が必要だからだろう。波乱を願う馬券作戦なら、カフェファラオも、レッチェバロックも、消していい危ない人気馬に相当する。
ただ近年は、キャリアの浅い無敗馬が次々に芝のGIを制してしまう時代であり、ダート巧者のローテーションも大きく変わった。叩き上げの時代ではないことも確かだ。
日曜日もまだ好時計のスピード決着になるとみて、凡走の危険も承知で、レッチェバロック(父Uncle Mo アンクルモー)から入りたい。快速系らしく前走の1200m通過は1分10秒2だった。これは、今年の東京ダート1400m良馬場の最速タイム1分22秒7(モズアスコットが勝った根岸S)の1200m通過より0秒6も速い猛ペースだった。3歳牝馬の2戦目だから価値がある。
独走になったため、ルメール騎手が最後の200mは大事に流して13秒4。そのため勝ち時計は根岸Sよりずっと遅い1分23秒6にとどまったが、少し気合を入れていれば1分22秒台だったと思われる。(バテたかもしれないが)中身は古馬トップクラスのダート1400mと互角に近い快内容だった。
芦毛を伝えることで知られた日本のフォルティノ系は、シービークロス→タマモクロスの父系がすでに途絶え、現在はスノードラゴン(4代父がフォルティノ)だけになってしまったが、スピード決着を好むアメリカには残っている。
芦毛こそ途切れたが、現代のアメリカでは5代前にフォルティノ、4代父にCaroカロを持つアンクルモー(2008)が大活躍している。たぶんに早熟型の傾向は否定できないが、ダート適性を身につけ、アンクルモーは初年度産駒のNyquistナイクィストが2016年のケンタッキーダービーなどダートGIを5勝して、今年の米新種牡馬となっている。
アンクルモー自身のGI2勝も8F、8.5Fであり、別にスプリンターではない。レッチェバロックの母の父Elusive Qualityイルーシヴクオリティも、祖母の父Deputy Ministerデピュティミニスターも短距離系ではなく、時計勝負の1600mあたりまでなら、距離不安は生じないと考えたい。レッチェバロックの母の半兄Wekiva Springsワカイヴァスプリングスは米ダート10FのGIを2勝している。
レッチェバロックには、ダートの回復が遅れるか、日曜にもうひと雨の味方が欲しい。
相手本線は、ハデさこそないが東京のダート1600m【3-0-0-0】のデュードヴァンと、差し馬向きの展開になると有利なタガノビューティー。2戦2勝のカフェファラオはあっさりもある大物だが、いきなり2戦2勝馬のワン.ツーまではない気がするので、その次にしたい。穴馬はメイショウベンガル。