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マイナー新種牡馬の活躍

  • 2020年06月30日(火) 18時00分

熊本県産馬2頭の活躍に“あっぱれ!”


 地方競馬では4月15日の門別から、中央競馬では6月6日から2歳新馬戦が始まったが、ややマイナーと思われる血統の活躍を取り上げてみたい(成績は6月28日現在)。

 “血統”と言っておいて最初は血統的なことではないのだが、近年、中央ではますます同じような勝負服の馬ばかりが活躍するなかで、九州(熊本県)産馬が新馬戦を勝ったことがニュースになった。6月13日、阪神芝1200mの新馬戦を勝ったヨカヨカ(牝、父スクワートルスクワート)だ。

 中央で九州産馬といえば、夏の小倉の九州産馬限定戦に出てくることがほとんどだが、この時期の中央場所の新馬勝ちはきわめてめずらしい。

 ちにみにその10日後、23日に行われた九州1歳市場(新型コロナの影響でインターネットによる入札)では、ヨカヨカの半妹(父カンパニー)が最高価格となる500万円(税別)で落札された。ヨカヨカの勝利は、この九州1歳市場にとっては最高のタイミングだった。

 血統的に目を引いたのは、6月28日、函館芝1200mを勝ったディープエコロジー(牝)。馬名から想像されるディープインパクトは母の父で、父は新種牡馬のクリーンエコロジー。

 クリーンエコロジーは中央の芝で準オープンまで勝ったが、オープンではダート1200m戦で3着が最高という成績。7歳時に北海道・田中淳司厩舎に移籍し、短距離の重賞で2勝を挙げた。血統登録された初年度産駒は11頭。地方でもすでに2頭がデビューしているがまだ勝ち星はなく、ディープエコロジーが産駒の初勝利となった。

 門別で5月5日のフレッシュチャレンジ(1000m)を勝ったルイジアンナ(牝)の父はダブルスター。その母がダッシングハニーだから、笠松に所属して全日本2歳優駿、東京盃などを勝ったラブミーチャンの半弟(父はシニスターミニスター)。デビューはホッカイドウ競馬だったが、3歳から中央で走り、2016年の7歳時にはオープンのアルデバランS(京都ダ1900m)を制した。ダブルスターの初年度産駒はルイジアンナを含め11頭が血統登録されている。

 門別の2歳戦でも、めずらしいことに九州産馬が勝利を挙げた。デビューから3戦目となった6月10日の未勝利戦で初勝利を挙げ、24日のアタックチャレンジ(1000m)と2連勝のライトシャワー(牝)で、これも熊本県産。

 父は、根岸Sを制し、マイルチャンピオンシップ3着などがあったゴールスキー(父ネオユニヴァース)。ダートで数々のGI勝ち馬を出しているゴールドアリュールの半弟だが、血統登録された初年度産駒わずか3頭というなかでのJRA認定競走勝ちとなった。

 中央のヨカヨカと合わせて、この熊本県産馬2頭の活躍は“あっぱれ!”でしょう。

 最後に、マイナーではないダート系の新種牡馬についても触れておきたい。

 ダートGI/JpnIで10勝を挙げたホッコータルマエの産駒は、早くも地方で4頭が勝利を挙げている。また、JBCスプリントなどダートグレード9勝を挙げたダノンレジェンドも同じく地方で4頭が勝ち馬となっている。

 興味深いのは、輸入新種牡馬のマクフィ。大井ではマテーラフレイバー(牡)がデビューから2連勝、門別ではフレッシュチャレンジを勝ったスマイルミュ(牝)が、この原稿が公開される日に行われる2歳最初の重賞、栄冠賞に出走している。さらに中央でも、ルーチェドーロ(牡)が6月27日、函館ダート1000mの新馬戦を勝った。マクフィ自身は、英2000ギニー、ジャックルマロワ賞と、ヨーロッパでマイルのG1を2勝したが、産駒の勝利はここまで3頭ともダートとなっている。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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