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【CBC賞】勝ち鞍は新馬戦だけの1勝馬、それでも58kgクリノガウディーのハンデは妥当なのか!?/岡村信将

  • 2020年07月03日(金) 18時00分

今回トップハンデ58kgを背負うクリノガウディー(c)netkeiba.com


 2020年秋から2024年にかけて行われる京都競馬場の大規模な工事にともない、今年のCBC賞は中京競馬場ではなく阪神競馬場で施行される模様。毎年9月上旬に行われているセントウルS(GII)と同じコースということになるのですが、セントウルSは毎年レコードが更新される時期の高速馬場。そちらは別定戦、こちらはハンデ戦ということもあって、参考にはしづらいものと考えられます。

 今年のCBC賞は例年とのコースの違いが取り沙汰されることになりそうですが、ラップ傾向で見ると中京芝1200mと阪神芝1200mにそこまで大きな差異はありません。そこで着目すべきは施行コースの違いではなく、CBC賞がハンデ戦であるという事実でしょう。

 現在のところ、JRAの1200mハンデ重賞はシルクロードS(GIII)、CBC賞(GIII)と北九州記念(GIII)の3レース。ラップ傾向がまるで違う小倉競馬場の北九州記念には当て嵌まらないのですが、今回着目する事象はCBC賞だけではなく、シルクロードSにも顕著に出ている傾向なので覚えておいても損はないと思います。

 JRAのハンデ戦はハンディキャッパーがイチから考えているわけではなく、“馬齢重量”という基礎になる負担重量からの増減で決められています。基本的には5歳以上の牡馬・セン馬が平地で57kg、4歳以下の馬は月ごとに細かく減量が設定されていて、いずれの年齢でも牝馬は一律に2kg減。土日で月を跨げば前の月の斤量が適用されるなど細かいルールもあるのですが、ともかく7月5日に施行される今年のCBC賞は3歳54kg、4歳以上57kg(牝馬は2kg減)の馬齢重量が基準となります。

 ナニやら小難しい話になってしまいましたが、そこで着目したいのはシルクロードSもCBC賞も、この基準となる斤量よりも重いハンデを付けられた馬の活躍が目立つということです。今回シルクロードSの数字は省きますが、CBC賞での成績は下記のようになっています。

基準以上 23戦【5-3-4-11】勝率22% 単回収108%
同等以外 189戦【8-10-9-162】勝率 4% 単回収 54%
※CBC賞がハンデ戦となった2006年以降。阪神競馬場で施行された2011年CBC賞も含む。

 自重450kgを超えるサラブレッドにとって、1kgや2kgの斤量なんてあまり関係ないのではないかという意見もありますね。パドックでボロでも出せば1kg以上変わることもあるのだし、競馬を始めた当初、そのように考えていた時期が自分にもありました。

 しかし、自重と斤量(自分の身体と外的重量)は根本的に違うのです。たとえば徒競走、“10円玉を40枚入れた袋”を持って走るとしますね。10円玉は40枚で180グラム。体重70kgの人間にとっての180グラム、これが450kgの馬に対する1kgの斤量と似たような比率になります。しかも両手のコブシに握りこむのではなく、コンビニ袋なんかを手からぶら下げて走るとすると、かなり走りづらいイメージが出来上がると思います。

 40枚を左右均等に分け、可能な限り袋を短く持つのが上手い騎手。袋を長く持ち、身体に当てながら走るのが下手な騎手だと考えているのは蛇足としておきましょうか。

■2020年CBC賞、出走予定馬の確定ハンデ一覧
アウィルアウェイ  基準55kg ハンデ55.5kg
アンヴァル     基準55kg ハンデ54.0kg
イベリス      基準55kg ハンデ53.0kg
エイシンデネブ   基準55kg ハンデ53.0kg
グランドロワ    基準57kg ハンデ55.0kg
クリノガウディー  基準57kg ハンデ58.0kg
ジョイフル     基準57kg ハンデ56.0kg
ショウナンアンセム 基準57kg ハンデ56.0kg
ダイシンバルカン  基準57kg ハンデ52.0kg
タイセイアベニール 基準57kg ハンデ56.0kg
ディープダイバー  基準57kg ハンデ54.0kg
ディメンシオン   基準55kg ハンデ53.0kg
ナインテイルズ   基準57kg ハンデ53.0kg
ノーワン      基準55kg ハンデ53.0kg
ミッキースピリット 基準57kg ハンデ54.0kg
ラブカンプー    基準55kg ハンデ51.0kg
レッドアンシェル  基準57kg ハンデ57.0kg
ロケット      基準55kg ハンデ52.0kg

 基準55kgに対して55.5kgのハンデを付けられたアウィルアウェイと、57kgに対して58kgクリノガウディーの2頭が今年の該当馬。13戦1勝のクリノガウディーがトップハンデ58kgに設定されたことが話題になっている今年のCBC賞ですが、まずはこの馬の取捨が最大の鍵になるのでしょう。

 ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んでCBC賞を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論に ぜひご注目ください。



■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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