内容は現時点ではピカイチ
函館2歳SはJRAの2歳初重賞。ここを快走しながら、そのあと活躍する馬の少ない時代がしばらくつづいたが、昨年の勝ち馬ビアンフェと、2着タイセイビジョンは、秋の東京のGII京王杯2歳Sを2、1着するなど、ビアンフェは現在【3-2-0-2】。タイセイビジョンはアーリントンCも勝って【3-2-0-1】のオープン馬。多くの2歳馬の出発が早まると同時に、流れ(レースへの展望)が変化しつつある。
そのタイセイビジョンは珍しく6月の阪神デビューだった。今年はレディステディゴーが阪神、グレイトミッションが東京デビューから転戦してきた。
注目の牝馬モンファボリ(父Frankel) の祖母は、2004年秋の古馬3冠制覇など7勝したゼンノロブロイの半姉にあたる。また、2019年の愛知杯を制したワンブレスアウェイ、2017年の札幌2歳Sを勝ったロックディスタウン姉妹の母ストレイキャットは、祖母の半妹になる。
14戦不敗(GI10勝)のFrankelフランケル産駒は、モズアスコット、ソウルスターリングのようなGI馬に育つ馬がいる一方、天才の産駒らしく怪しい気性が出てしまうと、世界各国でも、案外…の極端な傾向があるが、新馬1200m1分08秒7はこれまでの函館の2歳コースレコードを0秒5も更新する快記録だった。
2018年の朝日杯FSを1番人気で案外の成績のあと、とうとう立ち直れなかった牝馬ミスエルテ(父Frankel)と同じように母の父はA.P.Indy系で、ファミリーは典型的なアメリカ血統という点は気にならないでもないが、楽々と「33秒7-35秒0」=1分08秒7の内容は現時点ではピカイチだろう。外枠は不利ではなく、2013年に小柄な牝馬クリスマスが15番枠から快勝した。
レコード勝ちといえば、ルーチェドーロの新馬58秒5は、函館ダート1000mの2歳レコード。近年はダートで勝って函館2歳S勝ちは少ないが、2005年モエレジーニアス、2000年マイネルジャパンの初勝利はダート。母アラフネは2戦目にすずらん賞(札幌芝1200m) を勝ち、2連勝スタートだった。この時期の2歳馬は、芝馬、ダート巧者にあまり大きな有利不利はない。
数奇な運命を辿ったDubai Millenniumドバイミレニアムの孫にあたる父マクフィは、前出Frankelフランケルの前年に2000ギニーを3戦全勝で快勝している。ダートも芝もこなす産駒が多い。
穴馬は、名牝系(ヤマニンパラダイス、Green Desertなど)出身のグレイトミッション(父ダイワメジャー)。東京芝1400mの新馬戦は前半から気合をつけながらの追走で、それもずっと外々を回らされた。全体時計は平凡だが、追ってしぶとく伸びている。ここは差し馬向きの流れが望める。